シティグループは14日、米国で成立した新たな暗号資産(仮想通貨)関連法を受けた対応案を示した。今後、ステーブルコイン準備資産の保管や仮想通貨連動型ETFのカストディサービスを展開していく。
同社はまず、現金や米国債など高品質資産で裏付けられた規制下のステーブルコイン準備資産の保管から着手する方針だ。
これは7月に制定されたGENIUS法に基づくもので、発行者に100%の高流動性資産による裏付けを義務付けた連邦規制に準拠する。これにより、機関投資家が利用しやすい環境が整ったとみられる。
新法が後押しする機関参入
GENIUS法の制定は、長らく課題とされてきた規制不透明性を解消し、ステーブルコインの保管業務におけるオペレーション上のリスクを低減した。
法律は発行体に対し、現金や短期米国債などの高品質資産を裏付け資産として保有することを求め、準備資産の質や所在地に関する連邦基準を設定した。
加えて、これまで銀行の仮想通貨事業参入を阻んでいたオペレーション・チョークポイント2.0政策の終了も、シティグループの参入を容易にした要因とされる。
今回の動きは、大手資産運用会社ブラックロックの現物ビットコインETF(IBIT)など、急拡大する規制適合型の仮想通貨商品市場に対応する意図もある。
同社のビスワルプ・チャタジー氏はロイターの取材に対し、コンプライアンスと準備資産の安全確保、伝統的金融システムとの統合を重視していると述べた。
国際決済とETF保管への拡張
シティグループは既存の国際インフラを活用し、ニューヨーク、ロンドン、香港間で24時間稼働するブロックチェーンベースのトークン化米ドル送金ネットワークを拡充する計画だ。
このプラットフォームはステーブルコインから法定通貨への即時交換も可能とし、国境を越えた即時決済を実現する。
また、同社は仮想通貨ETFに組み込まれる資産の保管にも参入し、マルチシグウォレットやコールドストレージ、リアルタイム脅威監視といった業界水準を超えるセキュリティ対策を導入する。
保管前に全ての裏付け資産を検証し、特に現物ビットコインETFなど価格変動が大きい商品についてはカウンターパーティーリスクを最小限に抑える構えだ。
伝統金融とブロックチェーンの融合
シティグループは自社が直接仮想通貨を保有することは避け、規制下の裏付け資産に限ってサービスを提供する方針だ。
これはフィンテック系カストディアンとは一線を画す戦略であり、安定性を重視する機関の需要に合致する。
同社の参入は、2030年までに年間15兆ドル規模に達すると予測される機関向けステーブルコイン決済市場を見据えた動きでもある。
今回の決定は、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカなど大手金融機関が相次いでブロックチェーン関連サービスを強化する流れに沿ったものだ。
ステーブルコインを国際貿易や送金において実用段階へと押し上げる重要な一歩となる。
