ビットコインATM運営大手のCoinFlipは5日、10億ドル(約1430億円)以上の企業価値での売却を検討していると発表した。
同社は金融アドバイザーを起用し、潜在的な買い手との初期協議を開始している。
仮想通貨ATM市場に再編の動き
CoinFlipは2015年に設立され、世界で5500台以上のビットコインATMを運営している。このうち4300台以上が米国内に設置されており、Bitcoin Depotに次ぐ業界第2位の規模を誇る。
同社のATMでは、利用者がビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)の購入、売却、送金が可能だ。
業界再編の波が後押し
仮想通貨業界では近年、企業統合を目的とした買収・合併(M&A)が活発化している。この動きがCoinFlipの売却検討を後押ししている要因の一つとされる。業界の成熟とともに、規模の経済を追求する企業間での統合が進んでいる状況だ。
同社は2018年にShoreline Venture ManagementやJetBlue Technology Venturesなどの投資家からシード資金を調達した実績を持つ。これまでに築いた国際的なネットワークと運営ノウハウが、今回の売却検討において重要な評価要素となっている。
規制強化が事業環境に影響
一方で、ビットコインATM業界は規制面での課題に直面している。特に高齢者を狙った詐欺などでビットコインATMが悪用されるケースが増加しており、2025年には規制強化に向けた議論が活発化した。
このような規制強化の動きが、CoinFlipにとって売却を検討する要因の一つとなっている可能性がある。業界全体として、消費者保護と利便性のバランスを取りながら事業を継続する必要性が高まっている状況だ。
ただし、同社が目標とする10億ドルの評価額が達成されるかや、実際に取引が成立するかは不透明な状況が続いている。金融アドバイザーとの協議は初期段階にあり、今後の展開が注目される。
このような業界動向の中で、投資家はビットコイン以外のアルトコインへの関心も高めている。