ストラテジー、ビットコイン購入加速|優先株発行を発表

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ビットコインと上昇するチャート

ストラテジー(旧マイクロストラテジー)は18日、500万株の「シリーズA永久優先株」の公募を発表した。この株式発行により約500億円(約5億ドル)の資金調達を目指す。

優先株は年率10%の固定累積配当が付与され、2025年6月30日から四半期ごとに配当金が支払われる予定だ。同社によれば、調達した資金の大部分はビットコイン(BTC)の追加購入に充てられ、一部は運転資金の強化に使用される。

世界最大級のビットコイン保有企業としての地位を強化

ストラテジーは現在、約499,226ビットコインを保有しており、その価値は約4兆1600億円に相当する。これにより同社は企業としては世界最大のビットコイン保有者となっている。

この優先株発行はストラテジーの継続的な戦略の一環であり、ビットコインを同社の準備金に組み込み、デジタル資産分野における主要プレーヤーとしての地位を確立することを目指している。

優先株の発行により、普通株主の議決権を希薄化することなく資金を調達できるメリットがある。一方で、高い配当率や未払い配当金の累積による追加の財務的義務が生じる点がデメリットとして挙げられる。

市場からの高い信頼と複雑な財務戦略

今回の資金調達ではモルガン・スタンレー、バークレイズ、シティグループ、モーリス・アンド・カンパニーなどの大手金融機関が共同主幹事を務める。これは市場がストラテジーのビットコイン取得のための財務戦略に対して高い信頼を寄せている証拠と言える。

優先株には複雑な償還・買戻し権が設定されている。ストラテジーは特定の条件下で優先株を償還する権利を保持し、株主は「根本的な変化」が発生した場合に自社株を買い戻すよう要求する選択肢を持つ。

配当金の仕組みも複雑で、未払い配当金は増加率で累積し、最終的には年率18%に達する可能性がある。これは大きな固定負担を作る一方、投資家には安定した長期保有のための収入源を提供する。

ビットコイン戦略と財務健全性のバランス

ストラテジーの最近の市場パフォーマンスは122%のリターンを記録しており、そのビットコイン中心のアプローチに対する投資家の関心の高さを反映している。

しかし、同社の流動比率は0.71と低く、財務状況を強化するために追加の運転資金が必要な状況にある。今回の資金調達により、ビットコイン保有戦略の継続と財務健全性の確保という両面でのバランスを取ることを目指している。

ストラテジーのビットコインへの積極投資は、企業の準備金戦略として暗号資産(仮想通貨)を位置づける新しいモデルを提示しており、今後も市場の注目を集めるだろう。

松田 明日香

暗号資産投資を2020年に始め、ビットコインやNFT、DeFiなど複数の分野で投資経験を有する。2025年1月にICOBenchに参加し、専門的な暗号資産ライティングを手掛けている。