複数のデジタル資産財務企業は27日、暗号資産(仮想通貨)の保有戦略を縮小し、AIインフラ事業へ方針転換した。
仮想通貨保有モデルの限界
報道によると、10社以上のデジタル資産財務(DAT)企業が従来の戦略を見直している。仮想通貨市場の低迷を受け、投資家の熱狂が冷え込んだことが背景にある。
これらの企業は現在、人工知能(AI)データセンターなどのインフラ事業に活路を見出そうとしている。
DATモデルは、上場企業が株式や負債を通じて資金を調達し、仮想通貨を購入する仕組みだ。
株主は企業の株式を通じて、間接的にトークンへのエクスポージャーを得ることができた。
しかし、仮想通貨の価格下落に伴い、保有資産の価値を下回る株価で取引される企業が増加した。
プレミアムが消滅したことで、株式発行による資金調達の魅力は大きく薄れた。その結果、多くの企業が負債や運営コストの負担に苦しむことになった。
投資家は単なる仮想通貨の保有ではなく、収益を生み出す実事業を求めるようになっている。
K Wave Media(Kウェーブ・メディア)は5月、データセンター開発への転換を発表した。
同社は最大4億8,500万ドル(約795億4,000万円)の資金をAIインフラに振り向ける計画だ。しかし、方針転換後に同社の株価は約71%下落している。
さらに同社は、残りの88ビットコイン(BTC)を売却した。その資金で600万ドル(約9億8,400万円)の負債を返済し、仮想通貨の保有戦略から完全に撤退している。
かつては1万BTCの蓄積を目標としていたが、その計画は頓挫した形だ。
企業再編の動きと今後の課題
Lixte Biotechnology Holdings(リクステ・バイオテクノロジー・ホールディングス)も戦略を転換した企業の一つだ。
同社は2025年に10.5BTCと300イーサリアム(ETH)を約260万ドル(約4億2,640万円)で購入していた。6月にはデータセンター向けのモバイル蓄電池事業を買収し、社名を変更する予定だ。
AlphaTON Capital(アルファトン・キャピタル)は、2025年9月にトンコイン(TON)に特化した戦略を開始した。
約1億ドル(約164億円)の規模を目指していたが、今年4月にAIインフラ事業へ方針を転換した。両社ともに、転換後に株価が約33%下落している。
AIデータセンターは安定した収益が期待できる一方で、多額の初期費用が必要となる。専用チップや電力の確保など、事業運営には高いハードルが存在する。
仮想通貨の購入資金の調達に苦戦した企業にとって、AIインフラの構築は容易ではない。
一部の企業は、蓄電池システムや小型モジュール炉などのエネルギー分野にも注目している。これらは仮想通貨マイニングとAI計算の両方で求められるインフラと関連性が高い。
しかし、開発期間が長く規制リスクも伴うため、収益化への道のりは不透明だ。
大規模な企業は今後も多様な戦略の一環としてトークンを保有し続ける可能性がある。一方で、中小規模の企業にとっては、実体のある事業モデルの構築が急務となっている。
市場は現在、新たな戦略に対する確かな実行力を求めている。
