韓国の決済処理大手BC Cardは23日、外国人観光客がステーブルコインを利用して国内加盟店で支払いを行うパイロットプロジェクトを完了した。
訪韓者は、保有するステーブルコインをBC Cardの既存の決済インフラを通じてデジタルプリペイドカードにチャージし、韓国内の実店舗での支払いに利用できる。
決済は全国約340万の加盟店でシームレスに行え、小売、飲食、サービス業など幅広い業種が対象だ。
従来の決済システムとデジタル資産技術の橋渡しを目的としており、特に外国人旅行者の利便性向上に重点を置いている。
既存インフラを活用した柔軟な支払い手段
BC Cardは、韓国国内のカード取引の20%以上を処理する主要な決済プロセッサーで、親会社は通信大手KTだ。
今回のプロジェクトは、ブロックチェーン企業Wavebridge、ウォレットプロバイダーAaron Group、海外送金業者Global Money Expressとの連携により実施された。
注目すべきは、加盟店側が新たなシステムを導入する必要がない点だ。
決済は既存の端末・チャネルを通じて処理され、加盟店は通常どおり韓国ウォンで代金を受け取る。このため、暗号資産(仮想通貨)特有の価格変動リスクを負う必要がない。
外国人観光客にとっては、従来の外貨両替に代わる効率的な選択肢となる。ステーブルコインを使うことで、両替手数料や為替変動リスクを抑えられるうえ、決済スピードも向上する。
金融包摂の観点からも、利便性とアクセス性の両面で意義深い取り組みだ。
なお、韓国では一部の仮想通貨決済サービスが規制されており、現時点では同サービスは外国人観光客のみを対象としている。
規制議論と将来展望
今回の実証は、韓国国内でステーブルコイン規制に関する議論が続く中で実施された。
韓国銀行は、発行体の株式の過半を銀行が保有するよう主張している一方、金融委員会はより柔軟な規制を模索しているとされる。
こうした環境を踏まえ、BC Cardは将来的な制度整備に備える戦略的なステップとして本プロジェクトを位置づけている。
社内には、ステーブルコイン市場の動向をモニタリングする専門チームを設置。テロ資金供与対策などのリスクも考慮しながら、システムの開発と運用を進めてきた。
今回の実証結果は、既存の金融インフラを損なうことなく、デジタル資産を現実の決済に統合する可能性を示すものだ。基盤技術であるブロックチェーンの信頼性もあらためて確認された。
BC Cardは、今回のプロジェクトを短期的なテストにとどめず、将来的な商用化を見据えた布石と位置づけている。
本格展開にあたっては、規制当局との調整やパートナー企業との連携、そして国際的なステーブルコイン取引に関するルール整備が課題となる。
