中国政府はこのほど、人民元に連動するステーブルコインの発行承認を検討していると報じられた。
この動きは、中国が21年9月に金融システムの安定性への懸念を理由に暗号資産(仮想通貨)の取引とマイニングを全面的に禁止して以来、劇的な政策転換を示すものだ。
中国は13年以降、仮想通貨に対する規制を段階的に強化しており、10年以上にわたり関連事業のほとんどが違法とされてきた。
中国の最高行政機関である国務院は、人民元連動ステーブルコインを含む国際通貨戦略の行程表を、25年8月下旬に審査する見通しだ。
ステーブルコイン導入を巡る中国の動き
今回の政策転換の背景には、米ドル連動型ステーブルコインが市場の99%以上を占める現状がある。
中国は金融主権の維持を重視しており、輸出業者によるドル建てステーブルコインや仮想通貨の利用拡大に対して、主権喪失への懸念を強めている。
加えて、厳格な資本規制が国内金融の安定を支える一方で、人民元の国際化を長年にわたり妨げる要因となってきた。
こうした状況を受けて、8月末に天津で開催される上海協力機構(SCO)首脳会議では、越境貿易におけるステーブルコイン決済の活用が議題に上る見通しだ。
現在提案されている行程表には、導入の目標時期や規制責任の明確化、リスク防止策などが盛り込まれており、香港や上海での先行導入が想定されている。
これに先立ち、政府は今月、制度設計に向けた勉強会を開催し、資本フローの監視体制や国境を越えたコンプライアンス整備を進めている。
なお、人民元連動型ステーブルコインが承認された場合でも、中央銀行が発行するデジタル人民元(e-CNY)とは明確に区別され、厳格な条件が課される見通しだ。
