金融庁は24日、暗号資産(仮想通貨)に関する税制改正と規制見直しを含む新たな計画が本格審議に入ることを明らかにした。
この計画は、日本のWeb3および仮想通貨市場の成長を促進することを目的としている。
計画の柱の一つは、仮想通貨を金融商品取引法の対象として再分類することである。現在、仮想通貨から得た利益は「雑所得」として扱われ、他の所得と合算して課税される総合課税の対象だ。これにより、税率は所得に応じて最大55%に達する可能性がある。
今回の計画では、これを株式や投資信託などと同様に、利益に対して一律約20%が課税される「申告分離課税」に変更することを目指す。
この税制改正が実現すれば、個人の資産形成における仮想通貨取引のハードルが大幅に下がり、市場参加者の増加が期待される。
ビットコインETF承認への道筋
今回の規制見直しが注目される最大の理由は、ビットコイン(BTC)などの現物ETF(上場投資信託)の国内承認への道を開く点にある。
仮想通貨が金融商品取引法上の金融商品として位置付けられれば、それを原資産とするETFの組成が可能になる。
米国では2024年1月にビットコイン現物ETFが承認され、機関投資家から巨額の資金が流入し、市場の流動性と信頼性を大きく向上させた。日本でも同様の金融商品が提供されれば、年金基金や金融機関といった機関投資家の参入が促され、市場の厚みが増す可能性がある。
金融庁は、投資家保護の枠組みを整備しつつ、米国市場の動向を注視しながら、慎重に国内でのETF承認に向けた議論を進める見込みだ。これにより、個人投資家もより安全かつ手軽に仮想通貨への資産配分ができるようになる。
日本のWeb3戦略と今後の展望
税制の国際水準への引き下げや規制環境の整備は、海外の有能な開発者や有望なスタートアップを日本に誘致する上で不可欠な要素だ。
魅力的な事業環境を整えることで、ブロックチェーン技術を活用した新しいビジネスやイノベーションが日本国内で生まれやすくなる。これは、日本の国際競争力を高め、新たな産業と雇用を創出する上で重要な意味を持つ。
今回の計画はまだ発表段階であり、今後、関連法案の国会提出と審議が必要となる。しかし、この方針は日本の仮想通貨市場にとって大きな転換点となり、世界のWeb3ハブを目指す日本の本気度を示すものとして、国内外から高い関心を集めている。
今回の税制改正は、仮想通貨税金の国際的な標準に近づく一歩であり、投資家層の拡大に寄与するだろう。