ブラックロックが運用するビットコイン(BTC)の現物ETF、iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)は、6月14日までの1週間で11億ドル(約1584億円)の純流入を記録した。
運用資産総額は700億ドル(約10兆円)を突破し、機関投資家による暗号資産(仮想通貨)採用の新たな節目となっている。
史上最速で成長するETF
IBITは2024年初頭の設定からわずか1年半で急拡大し、2025年6月時点の運用資産総額は719億ドルに達した。
保有するビットコインは66万2500BTCで、総供給量の約3%を占める。これは主要取引所や事業法人の保有量を上回る規模だ。
IBITが運用資産総額700億ドルに到達するまでに要した日数は341営業日だった。これは、同水準に到達するのに1600日以上を要した金ETF、SPDRゴールド・シェアーズの記録を大幅に短縮した。
機関投資家の需要が市場を牽引
規制下にあるETFという形式と、世界最大の資産運用会社であるブラックロックへの信頼が、機関投資家の資金流入を加速させた。
ETFへの資金流入は取引所準備金からビットコインを吸収し、売り圧力を緩和することで価格の安定にも寄与している。
実際、6月10日から14日にかけてビットコイン価格は4.7%上昇し、10万9500ドルとなった。同期間にはイーサリアム(ETH)ETFにも2億4000万ドル(約346億円)が流入するなど、機関投資家の関心は仮想通貨全体へ広がっている。
ビットコインの所有構造を変えるIBIT
IBITの保有量は、ビットコイン創設者サトシ・ナカモトが保有すると推定される110万BTCに迫りつつあり、所有権集中の主導的存在となる可能性が高い。
保有資産はコインベース・カストディが管理し、オフライン保管や保険によって安全性が確保されている。IBITの継続的な蓄積は流通供給量を減少させ、従来の資産配分や市場構造を再構築している。
金融のメインストリームと仮想通貨の統合が、新たな段階に入ったことを示す象徴的な事例と言える。