プライバシー重視コインであるジーキャッシュ(ZEC)の開発を主導してきたElectric Coin Company(ECC)は8日、全従業員が退職したと明かした。
開発チームの総辞職と新会社設立
ECCのジョシュ・スウィハートCEOは、今回の事態を親会社であるBootstrap理事会による実質的な解雇だと説明している。
同氏によると、理事会の過半数を占めるメンバーがZECの「検閲不可能なプライベートマネーを構築する」という本来の使命から逸脱した行動をとったという。
スウィハート氏は、理事会によるガバナンスの変更を「悪意ある」ものと表現し、これによりチームが誠実に業務を遂行することが不可能になったと主張した。
Over the past few weeks, it's become clear that the majority of Bootstrap board members (a 501(c)(3) nonprofit created to support Zcash by governing the Electric Coin Company), specifically Zaki Manian, Christina Garman, Alan Fairless, and Michelle Lai (ZCAM), have moved into…
— Josh Swihart 🛡 (@jswihart) January 7, 2026
この対立は、非営利の監督組織と開発企業の間で生じた深刻な溝を浮き彫りにしている。
しかし、退職したチームメンバーはZcashの開発を放棄したわけではない。彼らは新たな会社を設立し、これまでと同様の使命を持って開発を継続する意向を表明している。
開発者のショーン・ボウ氏は、チームがプロジェクトを見捨てたわけではないと強調した。
この異例の事態は、2025年12月に発表された組織再編に続くものであり、エコシステム内の混乱を示唆している。
以前にも創設者のズーコ・ウィルコックス氏がCEOを退任するなど、指導体制の変更が相次いでいた。
業界関係者は、この出来事が仮想通貨プロジェクトにおけるガバナンスの難しさを示していると指摘する。
特に、非営利の理念と営利企業の運営をどう両立させるかは、多くのプロジェクトにとって課題となっている。
市場への影響とプロトコルの安全性
今回の発表を受け、市場では不透明感が広がり、ZEC価格は一時急落した。
発表から24時間以内に下落率は11%から最大25%に達し、投資家の懸念が価格に反映された形だ。
こうした市場の反応は、開発体制の空白やリーダーシップの不安定化に対する警戒感を映している。
特に、2025年にかけて大きく値を伸ばしてきたZECにとって、今回の急落は強気ムードに冷や水を浴びせる結果となった。
一方で、ZECのプロトコル自体は技術的な影響を受けておらず、ネットワークは現在も正常に稼働している。
ウィルコックス氏を含む複数の関係者は、ネットワークの安全性が維持されていることを強調し、ユーザーに対して冷静な対応を呼びかけている。
今回の混乱を受け、競合するプライバシーコインであるモネロ(XMR)などが代替資産として注目を集める動きも見られた。
アナリストの間では、開発チームの離脱が将来的な技術革新やセキュリティアップデートの遅延につながる可能性があるとの指摘が出ている。
新たな組織体制がいかに早期に機能し、コミュニティの信頼を回復できるかが今後の焦点となりそうだ。
