暗号資産(仮想通貨)市場のマーケットメイカー最大手であるWintermuteは13日、2025年の市場分析レポートを公開した。
同社はレポートの中で、市場参加者が待ち望んでいた「アルトシーズン(アルトコインへの大規模な資金循環)」は到来しなかったと結論付けている。
分析によると、市場の流動性はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、および一部の大型銘柄に著しく偏在していることが判明した。
かつての相場サイクルで見られた「主要通貨から始まり、市場全体へ資金が波及する」という現象は消失しており、投資家の選別色が強まっている現状が浮き彫りとなった
崩れる4年周期と市場構造の変化
Wintermuteのレポートは、仮想通貨市場における利益機会の縮小を鮮明に描き出した。
同社のデータによれば、特定のテーマやナラティブ(物語)が主導するアルトコインの上昇期間は、2024年の中央値61日から、2025年にはわずか約19日へと激減。
これは市場の持続力が低下し、広範な銘柄を支えるだけの十分な流動性が不足している実態を浮き彫りにしている。
Liquidity came into crypto in 2025, but where did it go?
Using Wintermute’s proprietary OTC flow, our Digital asset OTC markets 2025 report shows where capital actually went and why market structure fundamentally changed
Read on for our key findings ↓ pic.twitter.com/Zw2pYRrozB
— Wintermute (@wintermute_t) January 13, 2026
特筆すべきは、業界で長年定説とされてきた、4年周期のサイクル理論の崩壊だ。
レポートは、現在の市場動向が時間的な周期性ではなく、流動性の集中度合いによって決定されていると分析。
資金の流れはより選別的になり、投資家は銘柄選定において極めて慎重な判断を迫られている。
同社のジェイク・オストロフスキスOTC(店頭取引)部門責任者は、2025年を「市場の微細構造における重要な転換点」と位置づける。
資金流入は継続しているものの、その対象は大型トークンに限定されており、一方でオプション取引量は2倍以上に急増。
市場参加者がより体系的なリスク管理やヘッジ取引へとシフトしている様子がうかがえる。
また、個人投資家の資金は、マクロ経済の不透明感や前年の相場疲れを背景に、仮想通貨から伝統的な株式市場へと回帰している。
単純な季節性アノマリーはもはや機能せず、戦術的なトレードが求められる環境下において、かつてのような仮想通貨バブル的相場の再来は不透明な情勢となっている。
ETFの影響と今後の焦点
Wintermuteのレポートは、流動性が一部の大型銘柄に集中する構造的な要因として、現物仮想通貨ETFの普及と、企業のデジタル資産財務(DAT)の拡大を挙げている。
これらの新たな経路を通じて市場に流入した機関投資家の資金は、ビットコインやイーサリアムといった主要資産に滞留する傾向が極めて強い。
その結果、従来のようなアルトコイン市場全体への資金波及効果は希薄化し、主要銘柄の市場深度のみが強化される結果となった。
この傾向に拍車をかけたのが、2025年10月に発生した大規模なレバレッジ解消の動きだ。
市場の急激な調整局面において、機関投資家は資産保全のために質への逃避を選び、主要トークンへの回帰を強めた。
当初はアルトコインを物色していた個人トレーダーも、相場急落を受けてリスク回避姿勢を鮮明にし、資金を再び主要銘柄へと戻している。
2026年の焦点は、この強固な集中傾向が崩れるか否かにある。
レポートは市場変化の条件として、ETFやDATの投資対象が主要資産以外へ拡大すること、あるいは主要銘柄の価格上昇による資産効果が機能することを挙げる。
また、株式市場へ流れた個人投資家の関心が、再び仮想通貨市場へと還流してくるかも重要な要素となるだろう。
