ベトナム政府は9日、規制下での暗号資産(仮想通貨)取引に関する5年間の試験プログラムを承認した。
即日発効となるこの枠組みは、長年規制が存在しなかった同国で初の包括的な制度となる。
試験プログラムでは、仮想通貨の発行・取引・決済をベトナムドン(VND)建てに限定し、外貨利用を禁止。さらに、認可されるのはベトナム資本企業のみと定められた。
政府は、すでに1700万人が規制外で取引に関与している巨大市場を背景に、こうした活動を正式に管理下へ置く方針だ。
試験プログラム導入の背景
今回の決定の背景には、ベトナムが2023年のチェイナリシス社の調査で仮想通貨導入率世界第5位にランクされた事実がある。
これは、規制が不在のままデジタル資産の利用が急速に拡大してきたことを示している。
ベトナム・インベストメント・レビューによれば、市場規模は1000億ドルを超えると推定されている。
政府関係者は、今回の試験導入により、恒久的な法整備に先立って明確なルール下で市場の動きを観察できると強調している。
この取り組みは、デジタル資産やブロックチェーン技術を11の優先技術分野の一つに位置づけ、2桁成長を目指す国家経済戦略とも合致する。
また、試験プログラムは6月に議会で承認された新法の前段階にあたり、2026年1月からはデジタル資産が正式に承認され、管理下で国家金融システムに段階的に統合されていく見通しだ。
厳格な参入条件と規制の枠組み
新たに導入される規制は、取引所に対して極めて高い参入条件を課している。
運営事業者は最低10兆VND(約557億円)の資本金を維持する義務があり、そのうち65%以上は銀行や証券会社といった機関投資家からの拠出でなければならない。
さらに、仮想通貨取引プラットフォームに対する外国資本の出資比率は最大49%に制限され、国内によるセクター管理が徹底される。
また、この枠組みの下で発行される通貨はステーブルコインではなく、不動産資産に裏付けられることが求められ、リスク管理が一層強化される。
最初のライセンスが発行されると、トレーダーは6ヶ月以内に規制下の取引所へ移行する必要があり、それ以降の無許可取引は違法とみなされる。
さらに、規制市場へのアクセスは既存の保有者と外国人投資家に限定され、新規の個人参加者は実質的に排除される可能性が高い。
この厳しい環境から、一部の投資家はより自由度の高い海外の仮想通貨取引所に目を向ける可能性も考えられる。
