トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループは19日、現物ビットコイン(BTC)ETFの申請を取り下げた。
激化する手数料競争と市場環境
同社はトランプ大統領が立ち上げたSNS「Truth Social(トゥルース・ソーシャル)」を運営している企業だ。
同ブランドを冠した暗号資産(仮想通貨)現物ETFの上場を目指していた。しかし、米証券取引委員会(SEC)に提出していた登録届出書の取り下げを、正式に要請した。
今回の決定の背景には、米国市場における仮想通貨ETFの競争激化がある。
Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)は、年間手数料わずか0.14パーセントの現物ETFを投入した。
BlackRock(ブラックロック)が提供する既存商品の手数料、約0.25パーセントを下回る水準となっている。
大手金融機関による激しい手数料競争は、新規参入のハードルを大きく引き上げている。
知名度の高い政治的ブランドであっても、コスト面だけで対抗するのは困難な状況だ。
投資家の関心や資金は、すでに強固な販売網を持つ少数の巨大ファンドに集中しやすくなっている。
トゥルース・ソーシャル名義のファンドは、ウォール街の巨大運用会社のような規模や手数料の優位性を持たない。
そのため、十分な取引量を確保し、ファンドを維持するコストに見合う成果を上げるのは難しいと判断されたとみられる。
新たなファンドへの転換か
今回の申請取り下げは、仮想通貨関連商品からの完全撤退を意味するわけではないようだ。
ブルームバーグのジェームズ・セイファートETFアナリストは、同社の戦略転換の可能性を指摘している。
単一のBTC現物ETFから、より柔軟なファンド構造への移行が予想されている。
ファンドのアドバイザーを務めるYorkville America(ヨークビル・アメリカ)も、今回の決定を「戦略的な動き」と説明した。
より効率的な証券の枠組みの下で、改めて申請を行う方針を示している。
関係者によると、同社はBTCだけでなく、イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)などの複数銘柄を組み合わせた商品を模索中とのことだ。
XRPなどの主要なトークンを含める計画も報じられている。また、価格変動の少ないステーブルコインをポートフォリオに組み込むことも検討されている。
これらの複数資産を対象とする商品は、当初の現物ETFとは異なる規制アプローチが必要になる。
1940年投資会社法に基づく、より一般的なファンドに近い形態が採用される可能性がある。
この枠組みはポートフォリオの柔軟性が高く、投資家保護の基準も明確に定められている。
市場がアルトコインシーズンを迎えれば、こうした商品の需要はさらに高まるだろう。
