暗号資産(仮想通貨)市場のデータ分析を行う各社はこのほど、トークン化された金の時価総額が60億ドル(約9180億円)を突破したと報告した。
現実資産(RWA)のトークン化が進む中で、金に裏付けられたデジタル資産への関心が急速に高まっている。
データによると、このセクターは2026年の年初からわずか1カ月半で20億ドル(約3060億円)以上もの資金流入を記録し、市場規模を大きく拡大させた。
この市場を牽引しているのは、テザー社が発行する「Tether Gold(XAUT)」とパクソス社の「Paxos Gold(PAXG)」だ。両社で市場シェアの約96.7%を占めており、圧倒的な支配力を見せている。
XAUTの時価総額は約36億ドル(約5508億円)、PAXGは約23億ドル(約3519億円)に達した。
これらのトークンは、安全な保管庫に管理されている120万オンス以上の現物金によって裏付けられており、現在の市場価格で数十億ドルの有形価値を有している。
安全資産への需要と市場環境の変化
市場参加者がトークン化された金に注目する背景には、世界的な経済の不確実性がある。市場のボラティリティが高まる中、伝統的な安全資産である金へのアクセスを容易にする手段として、デジタルゴールドが選ばれているのだ。
特に、インフレリスクや地政学的な緊張が続く環境下では、リスク回避の動きとして、暗号資産ネイティブな層だけでなく伝統的な資産運用者も金裏付けトークンへと資金をシフトさせている。安定性を求める投資家は、ステーブルコインのUSDTと同様に、金トークンを避難先として利用している。
また、トークン化技術により、金を小口で保有できるようになった点も大きい。物理的な延べ棒を購入するには多額の資金が必要だが、トークンであれば個人の資金力に応じた少額からの取得が可能だ。
これにより、金保有の民主化が進み、幅広い層が市場に参加しやすくなった。
実際、パクソス・ゴールドでは1月だけで2億4800万ドル(約379億円)もの流入を記録しており、機関投資家も分散型市場と伝統的金融の架け橋としてこの分野に関心を寄せている。金トークンは、ビットコインとは異なる価値保存手段として独自の地位を築きつつある。
RWA市場全体の成長と今後の課題
今回の金トークンの急成長は、ブロックチェーン技術を用いたコモディティ取引の有用性を証明している。
24時間365日取引可能で、決済も迅速に行える点は、従来の金融システムにはない強みだ。トークン化されたコモディティのカテゴリは6週間足らずで53%上昇しており、トークン化された資産全体の市場規模は約3280億ドル(約50兆1840億円)に達している。
アナリストらは、この分野が今後数年で数兆ドル規模に成長する可能性があると予測している。これから市場に参加する初心者は、まず基本的な仮想通貨買い方を理解しておくことが重要だ。
一方で、市場の健全な発展には課題も残る。供給の95%以上がわずか2社の発行体に集中している現状は、構造的なリスクとなり得る。
カストディ(保管)や規制に関する不確実性、さらには償還が集中した場合の流動性の問題などが懸念材料だ。市場の持続可能性は、透明性の確保、規制の明確化、そして物理的な準備金の厳格な監査にかかっているといえるだろう。
