ステーブルコイン発行大手のテザーは21日、同社が発行するテザー(USDT)の利用者が世界で5億人を突破したと明らかにした。
同社のパオロ・アルドイノCEOは、これを歴史上最大の金融包摂の達成と表現している。
公式発表によると、USDTの時価総額は約1821億ドル(約27兆6792億円)に達しており、競合であるサークルのUSDCが持つ約750億ドル(約11兆4000億円)を大きく上回る規模だ。
新興国市場での役割と成長の背景
この急成長は、新興国市場への戦略的な拡大が背景にある。法定通貨が不安定な地域や銀行インフラが未整備な地域では、USDTが送金や日常的な金融取引に不可欠な存在となっている。
テザーは、中央集権型取引所以外での日常生活へのステーブルコイン統合を積極的に推進している。同社は米国債の最大保有者の一つでもあり、2025年第2四半期には過去最高の49億ドルの純利益を計上した。
アルドイノ氏はプログラム可能な通貨を「情報と価値の両方を運ぶ究極のソーシャルネットワーク」と位置づけている。
規制の動向と今後の展望
一方で、テザーは規制の課題にも直面している。
ブルームバーグは、同社が約5000億ドルの評価額で約200億ドルの資金調達を計画していると報じた。これは同社の株式の約3%に相当し、実現すれば世界有数の未公開企業となる。
米国では、500億ドル以上のステーブルコインに年次監査を義務付けるGENIUS法が成立した。欧州では市場のMiCA規制により、USDTは要件を満たせず主要取引所でペアが上場廃止となり、市場シェアが低下している。
こうした中、テザーは2025年末までに米国市場向けの新たなドル連動ステーブルコインであるUSATを発行する計画だ。
同社米国部門のボー・ハインズCEOは、このプロジェクトのために外部資金を調達せず、新株発行で対応すると述べている。同社はIPOの計画はなく、財務的な独立性を維持しながら、ラテンアメリカやアフリカなど採用が進む市場に注力する構えだ。
こうしたテザーの戦略は、他の仮想通貨投資企業にも影響を与えうる実践的なモデルとなっている。
