ステーブルコイン発行大手のテザー社は11日、トロン(TRX)ネットワーク上の複数ウォレットに保有されていた合計1億8200万ドル相当のUSDTを凍結した。
今回の措置は、同社による法執行活動の中でも最大規模の一つとされる。
オンチェーンデータの分析によると、対象となったのはトロン基盤の5つのウォレットで、保有額はそれぞれ1200万ドルから5000万ドルに上る。
凍結の具体的な理由は公表されていないが、規模の大きさと迅速な対応から、法執行機関との連携や重大なセキュリティインシデントへの対応の可能性が高いとみられる。
テザー、中央集権的管理で不正利用に対応
ステーブルコイン発行大手のテザー社は、米司法省やFBIなどの要請に応じ、ブロックチェーン上の資金を即座に凍結できる中央集権的な仕組みを活用し、定期的に資産凍結を行っている。
この仕組みは、検閲耐性を重視するビットコイン(BTC)とは対照的で、規制当局の枠組みに準拠する責任を負うステーブルコイン発行者特有の特徴だ。
ステーブルコインは価格の安定性と送金の容易さから、資金洗浄などの不正活動に悪用されるケースが増加している。
ブロックチェーン分析企業チェイナリシスのデータでは、2025年末までに暗号資産(仮想通貨)関連の犯罪取引の84%にステーブルコインが関与していたことが報告されている。
USDTは市場シェアの大きさから、犯罪者にとって主要なツールとなっているという。
ステーブルコイン市場への影響
AMLBotのレポートによれば、テザー社は2023年から2025年の間に約33億ドル相当の資産を凍結し、ブラックリスト入りしたウォレットアドレスは7268に上る。
ステーブルコイン市場の約60%を占めるUSDTは、仮想通貨時価総額約1870億ドルの中核を担っており、トロンブロックチェーン上では800億ドル以上が流通している。
今回の凍結措置は、仮想通貨エコシステムにおける金融犯罪対策の厳格化を浮き彫りにした。
規制当局は、イノベーションと犯罪抑止の両立を目指し、ステーブルコインに対する監視をさらに強化している。
