決済大手のペイパルは17日、自社が発行する米ドルペッグのステーブルコインPayPal USD(PYUSD)の提供範囲を新たに68カ国へ拡大した。
新興国を中心に提供エリアを拡大
暗号資産(仮想通貨)市場において、ステーブルコインは価格変動が少なく実用性が高いとされている。ペイパルが発行するステーブルコインPYUSDは、これまで米国と英国でのみ利用可能だった。
今回の拡大により、ウガンダやコロンビア、ペルー、シンガポールなど、南米やアフリカ、アジアを含む計70カ国で利用できるようになる。
ユーザーはペイパルのウォレットを通じて、PYUSDの購入や保有、送受信が直接行える。
また、米国で提供されていた年利4%の報酬獲得プログラムも対象地域で利用可能になるという。報道によると、ペイパルのメイ・ザバネ暗号資産部門責任者がこの方針を明らかにした。
同社は約200カ国で事業を展開しており、その既存のネットワークを生かして需要の高い地域へターゲットを絞った展開を進めている。
PYUSDの時価総額は現在41億ドルに成長しており、自社サービスへの統合をさらに後押ししている。
送金コストの削減と決済の効率化
今回の提供国拡大の背景には、従来の国際送金における高いコストと処理の遅延がある。特に新興国では現地通貨の価格変動が激しく、安定した米ドルへのアクセスが強く求められていた。
PYUSDを利用することで、ユーザーは現地通貨に強制的に換金することなく、米ドル相当の価値を保持できる。
例えば、ニューヨークからペルーへ10ドルを送金する場合でも、PYUSDのまま受け取ることが可能だ。
為替手数料などの余分なコストを回避し、効率的な資金移動が実現する。
また、PYUSDを受け入れる加盟店にとっても利点は大きい。従来の銀行送金では数日かかっていた決済処理が、仮想通貨の技術を用いることで数分で完了するようになる。
ユーザーは外部の仮想通貨ウォレットへ資金を移動させたり、現地の法定通貨に変換したりすることも可能だ。
高速で低コストな取引を実現するため、基盤となるブロックチェーンをソラナ(SOL)へ移行するなどの取り組みも進められている。
各国の規制に関する議論とも歩調を合わせており、今後のさらなる普及が期待される。
