パキスタンの暗号資産(仮想通貨)規制当局は14日、米トランプ大統領の家族が関与するワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)の関連企業、SC Financial Technologiesと覚書を締結したと発表した。
今回の提携を通じ、同国はドル連動型ステーブルコインUSD1を国際送金に活用する可能性を探る。
当局は、新たなデジタル決済アーキテクチャに関する対話や技術的な理解を深めることを狙いとしている。
SC Financial Technologiesはパキスタン中央銀行と連携し、規制されたデジタル決済構造の中にUSD1を統合することを目指す。
これにより、既存および計画中のデジタル通貨インフラと並行してトークンが運用される見込みだ。
国際送金の効率化とデジタル経済の推進
パキスタンが今回の提携を模索する背景には、同国の巨大な送金経済がある。
年間360億ドルを超える海外からの送金は、同国にとって重要な外貨獲得源だ。
当局の声明によると、国内には推定4000万人の仮想通貨ユーザーが存在するという。投資家は常にトレンドの仮想通貨銘柄を探しており、市場の拡大は続いている。
年間の仮想通貨取引高は最大で3000億ドルに達するともされる。
政府は現金利用の削減を進め、特に国際送金における決済システムの改善に力を入れている。
パキスタン中央銀行総裁は2025年7月、デジタル通貨の試験運用に向けた準備を進めていると明かしていた。
今回の合意は、パキスタンと米国の関係改善が進む中で実現した。米国ではトランプ政権下で連邦レベルの仮想通貨規制が導入され、業界にとって好意的な環境が整いつつある。
この動きは、ステーブルコインの金融システムにおける役割を世界的に再評価する流れを後押ししている。投資家の間では、仮想通貨バブルの再来を期待する声も高まっている。
トランプ氏関連企業との連携と今後の展望
WLFIは2024年9月に設立された仮想通貨プラットフォームで、ドナルド・トランプ米大統領の家族が主要な事業として関与している。
今回の発表は、同社と主権国家との間で公表された最初の提携の一つとなる。署名式には、同プラットフォームのザック・ウィトコフ共同創設者兼CEOがパキスタンを訪問して出席した。
式典にはパキスタンのムハンマド・アウランゼブ財務大臣やシャバズ・シャリフ首相ら政府高官も出席した。
アウランゼブ財務大臣は、信頼できる世界的プレーヤーとの連携が時代を先取りする上で重要だと強調。イノベーションが規制や国益と整合することを確実にする姿勢を示した。
一方で、トランプ大統領が米国の仮想通貨政策を監督する立場にあることから、利益相反の懸念も指摘されている。
これについてホワイトハウスは否定しており、WLFIの広報担当者も、同社は今回の合意から金銭的報酬を受け取っていないと説明した。合意は米ドルの基軸通貨としての地位維持に寄与する可能性があるという。
World Liberty Financialは過去にも大規模取引に関与した実績を持つ。
報道によれば、2025年5月にはアブダビの投資会社MGXが同社のステーブルコインを使用し、バイナンス株式20億ドル相当を取得したという。
今回のパキスタンとの提携も、同社の国際的影響力拡大の一環と見られる。
