ナイジェリア政府はこのほど、暗号資産(仮想通貨)の取引において、納税者番号と国民IDの登録を義務付ける新たな規制を施行した。
政府は、この措置により取引の透明性向上と課税体制の強化を図るとしている。
ナイジェリア、仮想通貨の取引監視を強化
この措置は、2025年ナイジェリア税務行政法(NTAA)に基づくもので、仮想通貨取引所などのサービスプロバイダーに対し、顧客情報の追跡と報告を求めている。
具体的には、納税者番号と国民識別番号を取引記録とリンクさせることが必須となった。
規制の枠組みにより、登録されたすべての仮想通貨交換業者は、顧客の氏名や住所、電話番号などの詳細な個人情報を収集しなければならない。
さらに、取引日や資産価値、総売上高を含む月次レポートを当局へ提出する義務が課される。
このシステムは、高額なブロックチェーン監視インフラに頼ることなく、仮想通貨投資活動を個人の身元と直接結びつけることを可能にする。
これは経済協力開発機構(OECD)が定めた国際的な報告枠組みにも準拠した動きだ。
巨大市場からの税収確保へ
ナイジェリアは世界有数の仮想通貨市場であり、2024年7月から2025年6月の間に約921億ドルの取引が処理されたと推定されている。
政府はこの巨大な市場を、石油収入に代わる新たな財源として重視している。
同国では2022年にも10%の課税を試みたが、執行メカニズムの弱さから十分な成果を上げられなかった経緯がある。
今回の新法は、取引と納税者IDを直接リンクさせることで、以前の課題であった執行力の欠如を解決しようとしている。
投資家の中には、将来的な仮想通貨バブルの再来を見越して、今のうちに資産を整理する動きも見られる。
また、2025年4月に署名された投資証券法により、仮想通貨は正式に証券として分類された。
これにより、証券取引委員会の規制下にも置かれることになり、デジタル資産に対する包括的な管理体制が強化された。
安全な資産管理のために、仮想通貨ウォレットの情報を確認するユーザーも増えている。
厳格な罰則と市場への影響
新たな規制の下、サービスプロバイダーは顧客の本人確認(KYC)記録と取引データを、最後の活動から最低7年間保存しなければならない。
また、疑わしい取引や高額な取引については、税務当局および金融情報機関へ積極的に報告することが求められる。
コンプライアンス違反に対する罰則は厳しく設定されている。
違反した取引所には、最初の月に1000万ナイラ(約111万5000円)、それ以降は月ごとに100万ナイラ(約11万1000円)の罰金が科される。
市場アナリストは、この厳格な要件により一部の事業者が撤退したり、サービスを縮小したりする可能性があると指摘している。
一方で、現地のパートナーシップを強化し、コンプライアンスを遵守することで生き残りを図る動きも予想される。
