韓国のメディア企業であるK Wave Media(KWM)はこのほど、保有するすべてのビットコイン(BTC)を売却した。
1万BTCの目標から一転、全額売却へ
K Wave Mediaはナスダックに上場する韓国のメディア・エンターテインメント企業だ。同社はデジタル資産を財務戦略の中心に据える方針を掲げていた。
2025年7月には、暗号資産(仮想通貨)の取得に向けて最大10億ドルの資金調達枠を確保したと発表している。
この資金を活用し、同社はビットコインの保有量を1万BTCまで拡大する目標を公表していた。実際に88BTCを蓄積し、仮想通貨を保有する上場企業として市場の注目を集めた。
しかし、強気な計画の発表から1年足らずで、方針を大きく転換することになる。
同社は5月6日に保有する88BTCをすべて売却した。この取引で約6,420万ドルの資金を得ている。6月末の提出書類では、売却益の一部を約600万ドルの債務返済に充てたことが明らかになった。
現在、同社の貸借対照表に仮想通貨は計上されておらず、関連する金融取引からも完全に撤退している。
日本のメタプラネットがビットコインの保有を継続しているのとは対照的な動きだ。
AIインフラへの戦略転換と規制の影響
今回の売却の主な要因は、債務の削減と財務基盤の安定化だ。仮想通貨という価格変動の大きい資産を手放し、確実な現金化と負債の圧縮を優先した形だ。
手元流動性を高めるための動きは、他の仮想通貨保有企業でも見られる傾向である。
また、企業戦略の大きな変更も背景にある。同社はビットコインの取得計画を停止し、AIインフラの構築に注力する方針を明らかにした。
これまで仮想通貨向けに予定していた最大4億8,500万ドルの資金を、AI関連の事業に振り向ける計画だ。経営陣は、仮想通貨の保有拡大よりもAI分野での成長に高い価値を見出したとみられる。
韓国国内における規制環境の変化も影響を与えた可能性がある。デジタル資産を保有する企業に対する監視が強まっており、上場廃止のリスクも指摘されている。
同社はナスダック上場企業だが、本国での厳しい政策環境が、AIのような伝統的な成長分野への移行を後押ししたと考えられる。市場の関心は、同社の新たなAI戦略の行方に集まっている。
