エリック・アダムス前ニューヨーク市長は12日、独自の暗号資産(仮想通貨)であるNYCをローンチした。
しかし公開直後、同通貨の価格は急落し、市場操作の可能性が取り沙汰されている。
NYCトークン、時価総額950億円からの急落
前ニューヨーク市長のエリック・アダムス氏は、4年間の市長任期を終えた約12日後、タイムズスクエアで記者会見を開き、ソラナ(SOL)ブロックチェーン上で発行されたミームコインNYCを発表した。
アダムス氏は在任中からニューヨークを仮想通貨の首都にする方針を掲げており、今回のトークンについても、反ユダヤ主義への対抗やブロックチェーン教育の支援を目的とすると説明していた。
市場データによると、NYCは取引開始直後に急騰し、一時58セントを記録。時価総額は推計で5億4000万ドルから6億ドルに達した。
しかしその数分後には13セントまで急落し、最終的に時価総額は1億ドルを下回った。これにより多くの投資者が損失を被る結果となった。
運営側による流動性操作の疑い
ブロックチェーン分析企業Bubblemapsは、トークン発行者に関連するウォレットの不審な動きを指摘している。
発行者関連のウォレット「9Ty4M」は、分散型取引所Meteoraで一方的な流動性提供を行い、価格がピークに達した際に約250万ドル相当のUSDTではなくUSDCを引き出した。
その後、価格が60%以上下落した段階で約150万ドルを再投入しており、残り約100万ドルの行方は不明だという。
また、トークン供給は極端に集中しており、上位5つのウォレットが総供給量の約92%を管理。そのうち1つのウォレットだけで70%を保有している。
このため、少数の保有者による売却だけで価格が急落するリスクが高いとされる。
市場の混乱と参加者の損失
急激な価格変動により、一般投資家の間で多額の損失が発生している。
Solscanのデータによると、あるウォレットは約74万5000USDC分のトークンを購入後、20分足らずで売却し、約47万3000ドルの損失を出した。
アダムス氏のXアカウントでの宣伝投稿には、コミュニティノートでラグプル(出口詐欺)の警告が表示される事態となった。
運営側は「パートナーが流動性のリバランスを行う必要があった」と説明しているが、具体的な資金移動の詳細は明らかにされていない。
Bubblemaps創設者のニコラス・ヴァイマン氏は、この一連の動きを「明らかなラグプル」と指摘。開発者が約100万ドルの利益を得た可能性があると分析している。
著名人が関与する仮想通貨プロジェクトでのトラブルは後を絶たず、仮想通貨投資を実施する際はプロジェクトの透明性やリスクを慎重に見極める必要がある。
