実業家のイーロン・マスク氏は4月29日、OpenAIに対する訴訟の証言で暗号資産(仮想通貨)に関する見解を明らかにした。
大半の仮想通貨は詐欺
マスク氏は証言の中で、一部の仮想通貨には価値があるものの、大半は詐欺であると述べた。この発言は、OpenAIが2018年に計画したイニシャル・コイン・オファリング(ICO)による資金調達案に関する反対尋問の中で出たものだ。
同氏は当時、ICO計画を阻止した経緯がある。裁判資料によると、マスク氏はICOを実施すればOpenAIと関係者の信用を大きく失うと主張していた。
仮想通貨業界に蔓延する詐欺への懸念が背景にあったとみられる。
証言の文脈では、非現実的な利益を約束する偽のプラットフォームや、ウォレットの鍵を狙うフィッシング攻撃などの詐欺手法が言及された。
マスク氏自身も、偽のSNSアカウントによるなりすまし詐欺の被害に遭っている。
現在行われている裁判は、OpenAIが設立当初の非営利の使命を裏切ったとするマスク氏の主張が争点となっている。同氏は2015年の共同設立から約3,800万ドルの資金を提供していた。
マスク氏は、OpenAIが2019年に営利モデルへ移行したことを問題視している。同社に対し、1,340億ドルから1,500億ドルの損害賠償と非営利組織への回帰を求めている。
OpenAIのサム・アルトマンCEOらの退任も要求に含めている。
過去の支持姿勢からの変化
マスク氏の仮想通貨に対する懐疑的な姿勢は、過去の熱狂的な支持とは対照的だ。同氏が率いるテスラは2021年初頭に15億ドル相当のビットコイン(BTC)を購入していた。
また、マスク氏の発言はドージコイン(DOGE)の人気にも大きな影響を与えてきた。
しかし、テスラは2022年半ばに保有するビットコインの約75%を売却している。仮想通貨市場の変動が企業戦略に影響を与えた形だ。
2026年第1四半期の時点で、テスラが保有するビットコインは1万1,509 BTCにとどまる。その価値は約7億8,600万ドルとされている。
一方、OpenAIの弁護団は、マスク氏の訴訟は同社の8,500億ドルという評価額に対する嫉妬が動機だと反論している。マスク氏が2023年に立ち上げた競合AI企業であるxAIの宣伝目的だとも主張している。
カリフォルニア州の連邦裁判所で行われているこの裁判は、慈善信託の違反と不当利得の2つの請求に絞られている。かつての共同設立者同士の対立は、AI業界だけでなく仮想通貨業界からも注目を集めている。
