アジアの金融機関や規制当局が2025年を通じ、米ドル以外の通貨に連動するステーブルコインの基盤整備を加速させた。
日本では10月にフィンテック企業JPYCが国内初となる法的裏付けのある円建てステーブルコインを発行し、3メガバンクも金融庁支援のもと実証実験を開始。
韓国でも9月、デジタル資産カストディ企業BDACSがウォン建てステーブルコイン「KRW1」をアバランチ(A上で立ち上げるなど、米ドル一強への挑戦が本格化している。
日本で進む円建てステーブルコインの実用化
日本では2025年10月27日、JPYCが国内初となる資金移動業型の円建てステーブルコイン「JPYC」を正式発行した。
1JPYC=1円で日本円との交換が保証され、裏付け資産として預金と日本国債を保有している。
3メガバンク(三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行)も本格参入に動いた。
金融庁は11月、3行の共同ステーブルコイン発行に向けた実証実験を「フィンテック実証実験ハブ」の支援案件として採択。
片山さつき金融相は法令解釈などの面から実証実験をサポートしていくと表明している。
韓国でもウォン建てプロジェクトが急増
韓国では9月、BDACSがウリィ銀行と提携し、初のウォン建てステーブルコイン「KRW1」をアバランチ上で立ち上げた。
1KRW1は韓国ウォンと1対1で連動し、裏付け資産はウリィ銀行がエスクロー口座で管理する。
10月には別のウォン建て銘柄「KRWQ」がコインベースのBaseネットワークでデビュー。
カカオバンクもウォン建てステーブルコインの開発を実際の構築段階へと進めた。
米ドル支配の現状と普及への課題
CoinGeckoのデータによると、ステーブルコイン市場の時価総額は約3120億ドルに達し、そのうち米ドル建てが97%以上を占める。
円建てはわずか1640万ドルにとどまっている。
TRMラボのアジア太平洋地域担当者は「1年未満の市場活動では真の普及を判断するには時期尚早だ」と述べ、現状は取引量よりもポジショニングの意味合いが強いとの見方を示した。
一方、OSLリサーチのエディ・シン調査責任者は「これらの銘柄はドルを置き換えるものではなく、選択肢を多様化させるためのものだ」と強調。
これまでは将来性が高いビットコイン(BTC)が市場を牽引してきたが、今後は実用性の高いトークンが重要になる。
2026年に向けて北東・東南アジアが多通貨ステーブルコイン回廊へと進化し、決済を第一としたユースケースに機会が生まれる可能性があると展望している。
