Zcashの開発に携わるショーン・ボウ氏はこのほど、量子コンピュータ技術の進展が同ネットワークに及ぼす固有のリスクについて警告した。
ボウ氏は海外メディアDecryptに対し、Zcash(ZEC)が直面する脅威はビットコインなどの非プライバシー通貨とは異なると語った。
ビットコインの主なリスクは資産の盗難だが、Zcashには「コインの偽造」と「過去の取引履歴の解読」という二重のリスクが存在するという。
プライバシー機能を重視する同ネットワークにとって、過去の活動が暴かれることは設計の根幹を揺るがす事態だ。
量子コンピュータが暗号技術を破れば、ユーザーのプライバシーは根本から崩れ去る可能性がある。
過去の取引履歴が暴かれるリスク
ボウ氏が特に懸念しているのは、量子コンピュータがブロックチェーンの履歴を遡って解析する可能性だ。
ブロックチェーン上のデータは永続的に保存されるため、現在は安全な暗号技術も将来的には解読される恐れがある。
この問題はZcashだけでなく、ビットコインを含むすべての公開台帳型通貨にとっての課題となり得る。
これは「今収集し、後で解読する(Harvest now, decrypt later)」と呼ばれる戦略による脅威だ。
たとえ将来的にネットワークが量子耐性を持つ暗号技術に移行したとしても、現在公開されているデータは依然として脆弱なままである。
Zcashはzk-SNARKsなどの高度な技術を採用しているが、現在の実装は依然として楕円曲線暗号(ECC)に依存している部分が多い。
そのため、十分に高度な量子コンピュータが登場すれば、既存のシールドプールの一部が危険にさらされる可能性がある。
市場の反応と技術的な対策
こうした技術的な懸念の一方で、市場は量子脅威への意識を高めており、Zcashの価格動向にも影響を与えている。
9月1日以降、Zcashの価格は約15倍に急騰しており、投資家の関心を集めている。Zcashのようなアルトコインへの注目が再び高まっている。
一部のアナリストは、量子耐性のあるプライバシー資産への需要増加により、ZECが956ドル(約15万円)以上に達する可能性があると予測している。
ボウ氏は、ユーザーが自身のプライバシーを守るためには、完全にシールドされたトランザクションを利用することが不可欠だと強調した。
開発チームは「量子回復性」の機能実装を進めており、プロトコルレベルでの準備は整いつつあるという。
イーサリアムのヴィタリック・ブテリン氏らが警告する2028年頃の量子リスク到来に向け、Zcashは技術的な適応を続けている。
