中国のIT大手テンセントは12日、韓国のゲーム開発大手ネクソンを約150億ドル(約2兆1600億円)で買収を検討していることが明らかになった。
この動きは、テンセントの世界的なゲーム市場における主導的地位をさらに強化する狙いがあると見られている。ネクソンは1994年に設立され、「メイプルストーリー」や「アラド戦記」などの人気タイトルで知られる企業だ。
ネクソンの2025年第1四半期の業績は好調で、売上高は約1139億円、純利益は約263億円を記録している。
世界市場での覇権強化を目指すテンセント
テンセントによる買収検討の背景には、戦略的な事業拡大がある。ネクソンが持つ象徴的なフランチャイズとアジア市場での強力な存在感を取り込むことで、世界的なゲーム市場での支配力を固める戦略だ。
ネクソンの時価総額は約150億ドルにのぼり、株価も2025年に入って10%上昇するなど、財務的にも魅力的な買収対象となっている。
この買収が実現すれば、テンセントは家庭用ゲーム機やPCゲームの分野でソニーやマイクロソフトと肩を並べる存在になる可能性がある。近年、ゲーム業界では暗号資産(仮想通貨)を組み込んだ新しいビジネスモデルも登場している。
創業家との交渉と規制の壁が焦点に
買収交渉の鍵を握るのは、2022年に死去したネクソン創業者キム・ジョンジュ氏の遺族の意向だ。遺族はネクソンの持株会社であるNXCを通じて株式の44.4%を保有しており、テンセントは遺族側と接触しているとされるが、交渉はまだ初期段階にある。
テンセントにとって、ネクソン買収の試みは2019年に失敗して以来2度目となる。この大型買収の動向は、主要なビットコイン(BTC)の価格変動と同様に市場から大きな注目を集めている。
両社はこれまでも「アラド戦記」の共同開発などで協力関係にあり、同作はテンセントの収益に大きく貢献してきた。
しかし、ネクソンが韓国のゲーム産業を代表する企業であることから、同国内での規制や競争上の障壁が、買収実現の複雑な要因となる可能性も指摘されている。
こうした伝統的な企業買収とは別に、ゲームと連携する独自のアルトコインを発行する動きも活発化している。