決済大手のStripeは11日、暗号資産(仮想通貨)ウォレットインフラのプロバイダーであるPrivyを買収したことが明らかとなった。買収額は公表されていない。
この動きは、Stripeが2025年2月にステーブルコインのインフラ企業であるBridgeを11億ドルで買収完了した後に行われた。同社はPrivyとBridgeの技術を統合し、仮想通貨決済インフラへの取り組みを加速させる狙いだ。
仮想通貨分野への戦略的拡大
Stripeは、補完的な技術を持つ企業を買収することで、デジタル資産への関与を深めている。特に仮想通貨の分野での動きが活発化している。
PrivyのウォレットインフラとBridgeのステーブルコインツールは、仮想通貨決済を合理化し、法定通貨と仮想通貨のエコシステムを橋渡しするというStripeの目標と一致する。
NFT(非代替性トークン)や分散型アプリケーション(dApps)の人気が高まるにつれ、利用者にとって使いやすいウォレットソリューションの需要が増加している。利用者は自身のニーズに合った仮想通貨ウォレットおすすめを選ぶことが重要になる。
PrivyのAPI主導のアプローチは、拡張性の高いウォレット統合を可能にし、Stripeの法人顧客にとって魅力的だ。
Privyは7500万以上の顧客アカウントと1000を超える開発者チームをサポートし、数十億ドル規模の取引を処理している実績を持つ。この確立された利用者基盤は、成長する仮想通貨決済インフラ市場におけるStripeの競争力を高めるだろう。
独立性を保ちつつ相乗効果を追求
買収後も、Privyは独立した製品として運営を継続する。既存の顧客との関係を維持しながら、Stripeのリソースを活用して開発を加速させる方針だ。同社の技術は、今後のWeb3ウォレットの普及に貢献すると期待される。
PrivyのHenri Stern CEOは、Stripeとの共通の目標を強調した。両社は仮想通貨と伝統的な金融システムの融合を目指しており、国境を越えた価値の移転における摩擦をなくし、ブロックチェーンと法定通貨の相互運用性を促進することを目的としている。
Privyは今年3月、Ribbit Capitalが主導する資金調達ラウンドで1500万ドル(約21億7500万円)を調達していた。
今回の買収は、ウォレット管理からステーブルコイン発行までを網羅する包括的な仮想通貨取引の実現に向けたStripeの戦略を補完するものとなる。