分散型デリバティブ取引所のハイパーリキッドは5月、月間取引高が過去最高の2480億ドル(約35兆7000億円)に達したことが分かった。
この数字は、4月の1875億ドルから51.5%の増加となる。前年同月比では、2024年5月の263億ドルから843%という著しい成長を遂げた。
この急成長により、同プラットフォームは大手取引所バイナンスの無期限先物取引高の10.54%を占めるまでになった。
急成長を支える複数の要因
取引高の急増には、複数の要因が寄与している。著名トレーダー「ジェームズ・ウィン」氏の高レバレッジ取引の破綻を巡る騒動が、プラットフォームへの注目を高める一因となった。
さらに、ハイパーリキッドが実施した「シーズン2」のポイントプログラムが、新たなトレーダーを呼び込んだ。これは成功裏に終わった「シーズン1」のエアドロップに続くもので、ユーザー獲得の勢いを維持した。
プラットフォーム自体の競争力も成長を後押ししている。中央集権型取引所(CEX)に匹敵する利用体験と、非管理型のインフラを両立させている点が特徴だ。
分散型金融(DeFi)ならではの透明性を保ちつつ、低い手数料と迅速な約定を実現している。
分散型デリバティブ市場の拡大
ハイパーリキッドの躍進は、分散型取引所(DEX)のデリバティブ市場全体の拡大を反映している。2025年5月、DEXの無期限先物は世界の取引高の6.84%を占めた。
これは2月のピークである7.06%に迫る水準であり、従来のCEXに代わる選択肢としてオンチェーン取引への関心が高まっていることを示す。
2024年におけるDEXの無期限先物の平均シェアは6.7%で、2022年の2%未満から大幅に増加した。オンチェーンの流動性や約定能力が向上するにつれ、この傾向は続くとみられる。
アナリストは、ネイティブステーブルコインの統合やスプレッドの縮小、CEXを巡る規制の不確実性を背景に、DEXプラットフォームの市場シェアが年末までに2桁に達する可能性を指摘している。
この成長は、DeFiエコシステム全体への投資家の関心を高め、新たな暗号資産(仮想通貨)への投資機会を探る動きにも繋がるだろう。