投資運用企業のフランクリン・テンプルトンは15日、シンガポール金融管理局(MAS)から個人投資家向けのトークン型短期米ドルマネーマーケットファンド「フランクリン・オンチェーンUSD短期マネーマーケットファンド」の承認を取得した。
このファンドは、シンガポール市場における個人投資家向けとしては初めてのトークン型ファンドとなる。
最低投資金額は20ドル(約2940円)に設定されている。従来の類似商品と比較して、個人の投資ハードルが大幅に引き下げられた点が特徴だ。
シンガポールが先導するトークン型資産運用
フランクリン・テンプルトンが導入する今回のファンドは、ルクセンブルクで展開中の同社ファンドをモデルに設計されている。
保有資産は約17.6億ドル(約2587.2億円)で、短期米ドル建て証券や政府系マネーマーケット商品、現金同等物などに92.38%を投資している。
同ファンドは、約52%を満期30日超の証券、残りをより短期の証券に振り分ける戦略だ。
これらの運用は、フランクリン・テンプルトンが独自開発したブロックチェーン統合型の移転代理プラットフォーム上で実施される。
これにより、取引の透明性と効率性が向上している。ファンドの組成は、可変資本会社(VCC)スキームの下で行われる。
この動きは、MASが世界でも積極的にトークン型金融を推進している証拠でもある。
シンガポールは画期的な資産運用の国際的なハブを目指しており、フランクリン・テンプルトンの取り組みがその象徴となっている。
個人投資家向けの新たな選択肢と業界の変化
今回のファンドの特徴は、最低20ドルという低い投資額だ。
比較対象となる投資運用企業ヴァンエックのVBILLファンドでは、10万〜100万ドル(約1470万円〜1億4700万円)と、個人投資家には高い参入障壁が存在する。
フランクリン・テンプルトンのアジア太平洋地域責任者であるタリク・アーメド氏は、「これはブロックチェーンのイノベーションと伝統的金融をつなぐ重要な一歩」とコメントしている。
個人投資家の裾野拡大を狙い、誰もが資産運用に参加できる環境を整えることが狙いだ。
ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)の価格動向も、トークン型ファンドの商品設計に影響を与えている。
ブロックチェーン技術の導入は、従来の資産運用業界にも大きな変化をもたらしている。運用の効率化や透明性の向上に加え、新たな資産クラスへの投資機会も広がっている。
アルトコインへの関心も個人投資家の間で高まっている。
今回の新ファンドは、今後数カ月以内に正式に提供開始される見通しだが、具体的な開始日は現時点で公表されていない。
シンガポール発のトークン型資産運用商品は、業界全体のデジタル化と個人投資家への門戸拡大の流れを象徴していると言える。
仮想通貨投資を行う人々も、今後この分野の動向に注目すると見込まれる。