YZi Labs(旧バイナンス・ラボ)は6日、デジタル文化遺産プラットフォームのFunesへの戦略投資を発表した。
Funesは、人工知能(AI)とクラウドソーシング型フォトグラメトリ技術を活用し、人類の文化遺産と建築物をオープンな3Dアーカイブとして保存する取り組みを進めている。
同プラットフォームは、古代の寺院や遺跡から現代のランドマークまで、約1000件の建築物を既にデジタル化している。
YZi Labsの投資パートナーであるダナ・H氏は、Funesを「物理世界のGitHub」と表現し、世界中のコミュニティが文化的に重要な場所の詳細なデジタル設計図を保存し、発展させることができると強調した。
永遠の博物館を目指す壮大な構想
Funesは、世界最大のリアルワールド3D建築モデルのオンラインデータベースに成長した。
各モデルには、テキスト、画像、構造メタデータなどのマルチモーダルデータが付随し、学者や技術者向けの研究グレードのデータセットを形成している。
YZi Labsは公式発表で、Funesの取り組みを「人類のための使命」と位置づけ、「人類が構築したすべてのものの生きたアーカイブ」である「永遠の博物館」の創設を目指すと説明した。
同プロジェクトの共同創業者であるハンヤン・ワン氏は、「クラウドソーシング型のデジタル博物館は、私たちを形作る空間をどのように記憶し、再発明するかを再考させる」と述べた。
Funesは単なる保存にとどまらず、デジタル保存技術の進歩とともに文化的・商業的価値を高める研究グレードのデータセットとしても機能する。
AI技術の成熟が後押しする投資判断
今回の投資は、世界中で物理的な文化遺産が急速に劣化している現状と、AI技術の成熟が重なったタイミングで決定された。
特に3Dガウシアンスプラッティング、ラディアンスフィールド、大規模言語モデルなどの技術進歩が、高精度のデジタル保存を可能にしている。同様の技術はAI仮想通貨の開発にも応用されている。
ダナ・H氏は、「これらのデジタルモデルは建築遺産を保存するだけでなく、他者が研究、修正、構築するための基盤を提供する」と強調した。
YZi Labsは、100億ドル(約1兆5400億円)を超える資産を300以上のプロジェクトで運用しており、文化保存と技術革新を橋渡しするプロジェクトに戦略的に注力している。
同社はバイナンスから独立したベンチャーキャピタルであり、バイナンスコインのエコシステム拡大にも寄与してきた歴史を持つ。
同社は、Funesが「これまでに組み立てられた最も包括的なリアルワールド3Dデータベース」になると位置づけ、Web3とAIインフラの中核として「デジタル時代のための永続的で相互運用可能な資産」を創出すると説明した。
資金は3つの柱で展開、年間1000件超の追加計画
YZi Labsからの資金は、3つの主要な運営分野に戦略的に配分される。
第一に、歴史的建造物と現代建築の両方を対象とした包括的な3Dデータキャプチャを拡大するグローバルモデリング構想の加速。
第二に、アーカイブを静的なリポジトリから探索可能なデジタルランドスケープに変革するため、よりシームレスでインタラクティブなオンラインプラットフォームの開発。
第三に、膨大なリアルワールドデータセットと最先端技術を融合させるAI統合の強化だ。
Funesは、年間1000件以上の新しい構造物をアーカイブに追加する計画を進めており、そのスケーラビリティの高さが投資判断の重要な要因となった。
同プラットフォームの手法は、クラウドソーシング型フォトグラメトリによるコミュニティ参加と、プロフェッショナルグレードのコンピュータビジョン技術を組み合わせることで、技術的精度を確保しながら幅広い参加を可能にしている。
デジタル情報が技術の急速な進化により陳腐化するリスクである「データの劣化」への対応も、この投資の重要な推進力となった。
