データ分析企業のAmberdataは10日、トランプ家に関連する暗号資産(仮想通貨)が市場全体の急落を引き起こした可能性があるとの分析結果を発表した。
Amberdataのレポートによると、2025年10月10日に発生した仮想通貨市場の暴落は、World Liberty Financial Token(WLFI)の崩壊が引き金となった可能性があると指摘されている。
この日、ビットコイン(BTC)は約15%、イーサリアム(ETH)は約20%下落し、市場全体で69億3000万ドル規模の清算が発生した。WLFIはトランプ家が関与するレンディングプラットフォームのガバナンストークンであり、技術的な要因よりも政治的なブランド力に依存した特殊な銘柄だ。
分析では、WLFIが市場全体の価格下落が始まる5時間以上前から下落し始めていたことが判明した。当時、ビットコインは12万1000ドル付近で取引されており、市場に目立った不安材料は見られなかった。
しかし、WLFIは一部の保有者に集中した所有構造を持っており、トランプ家のメンバーや政治的関係者が大口保有者となっているため、少数の参加者の動きが価格に大きな影響を与えやすい状況にあった。
政治的要因と異常な取引パターン
WLFIの価格変動は、技術開発ではなく政治ニュースや規制の変更に敏感に反応する傾向がある。
Amberdataは暴落前に3つの異常な兆候を確認している。第一に、関税に関する政治的なニュースが報じられた後、WLFIの1時間あたりの取引高が約4億7400万ドルに急増した。これは通常時の約21.7倍に相当する規模であり、市場の注目が急速に集まっていたことを示している。
第二に、先物市場においてトレーダーがポジションを維持するために支払う手数料が、8時間ごとに2.87%という極めて高い水準に達していた。これは取引が過熱し、投機的な圧力が強まっていたことを示唆している。
第三に、暴落時のWLFIのボラティリティはビットコインの約8倍に達しており、市場のストレスに対して極めて激しく反応していたことが明らかになった。
担保清算の連鎖と市場への波及
WLFIの急落は、担保清算の連鎖(カスケード)を引き起こした。多くのトレーダーがWLFIを担保に資金を借り入れていたため、トークン価格の下落により担保価値が目減りした。
自動的な強制清算(ロスカット)を避けるため、トレーダーはビットコインやイーサリアムなどの他の資産を緊急に売却せざるを得なくなった。
この強制的な売りが主要銘柄の価格を押し下げ、さらなる売りを呼ぶ悪循環に陥った。Amberdataは、この動きがWLFI特有の圧力によるものであり、もし関税ニュースだけが原因であれば、ビットコインなどの大型銘柄も同時期に下落していたはずだと指摘している。
WLFIのような所有権が集中した小規模なトークンは、市場のショック時に真っ先に崩れ、より大きな資産に圧力をかけるリスクがある。
なお、2026年初頭までにWLFIの価格は22.9%上昇し、ある程度の回復を見せている。
しかし、依然としてマイナスのファンディングレートが続くなど、他の仮想通貨とは異なる特異な動きを示している。Amberdataは、今回の分析は単一のイベントに基づくものであり、WLFIが常に市場の先行指標になるとは限らないと慎重な見方を示している。
