Visa(ビザ)などの金融機関やテクノロジー企業は5日、香港のデジタル通貨プログラムにおけるクロスボーダー決済のパイロットテストを完了した。
トークン化ファンドのリアルタイム決済を実現
今回のテストは、香港金融管理局(HKMA)が主導するe-HKDパイロットプログラムの第2段階として実施された。
Visaのトークン化資産プラットフォームや、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の独自ブロックチェーンなどが活用されている。
中国の資産運用会社であるChinaAMC(チャイナAMC)の香港法人や、Fidelity International(フィデリティ・インターナショナル)も参加した。
テストでは、オーストラリアの企業投資家が香港の資産運用会社からトークン化されたマネー・マーケット・ファンド(MMF)を購入する状況をシミュレーションした。
決済にはe-HKDやトークン化された香港ドル預金が使用されている。従来の国境を越えた決済では、複数の仲介機関を経由するため完了までに2日以上の時間を要していた。
しかし、今回の実証実験では分散型台帳技術を用いることで、ほぼリアルタイムでの決済処理に成功した。データの分断や手作業による照合の手間を省き、決済リスクを大幅に低減することが確認されている。
暗号資産(仮想通貨)の基盤技術が、伝統的な金融取引の効率化に貢献する形となった。この技術は、ビットコインなどの主要な暗号資産にも応用されている。
Chainlinkの技術が国境間取引を支援
この決済システムを技術面で支えたのが、ブロックチェーンネットワークのChainlink(チェーンリンク)だ。
同社のクロスチェーン相互運用プロトコル(CCIP)を利用することで、異なるブロックチェーン間での安全なメッセージ通信と価値の移転が可能になった。
また、自動化されたコンプライアンスエンジンにより、リアルタイムでの身元確認も実現している。
HKMAは現在、企業間決済におけるe-HKDの活用や、トークン化エコシステムの構築を優先課題として掲げている。
トークン化されたファンドの市場規模は、2030年までに数兆ドル規模に達すると予測されている。香港では2025年8月にステーブルコインに関する新たな条例が施行されており、規制の枠組みが整備されたことで、ブロックチェーンの安全な利用環境が整いつつある。
これにより、イーサリアムを基盤とした新たな金融サービスの展開も期待される。
Visaの担当者は、効率的なクロスボーダー決済に向けてデジタルマネーとトークン化資産の推進を継続する方針を示している。
今回のテスト成功は、東洋と西洋の市場をつなぐ金融ハブとしての香港の役割をさらに強化するものと期待されている。
仮想通貨技術の応用範囲が広がる中で、今後の実用化に向けた動きが注目される。投資家は、新しい仮想通貨の動向にも関心を寄せている。
