ベネズエラ政府は26日、公共財政にドル連動型ステーブルコインを広範に組み込む経済再編に踏み切ったことが明らかになった。
ハイパーインフレが生んだ通貨の置き換え
米紙ニューヨーク・タイムズは、安定通貨の活用拡大を報じた。ステーブルコインは暗号資産(仮想通貨)の一種だ。合法的な外貨流入の最大50%を占めるという。同国は公共財政にもそれを広く取り入れている。
背景には130%超のハイパーインフレがある。ボリバルは実質的に価値を失い、価格表示が機能しない。市民と企業は、取引と保全の手段を安定通貨に切り替えた。
米国制裁で国際金融網への接続も細った。ドル準備は乏しく、銀行決済は滞る。デジタルのドル連動資産が代替回路になった。現金調達の難しさが、デジタル利用を後押しした。
運用の広がりと課題
大学や中小企業は、学費や価格、給与の支払いにテザー(USDT)を使う。国家石油公社PDVSAも、下請けへの支払いに採用した。ロシアや中国向けの原油取引でも活用が進む。公共部門の料金徴収でも導入が広がる。
政府は認可取引所とUSDT決済の端末を展開する。だが地方の通信は脆弱で、分散型金融の利用は限られる。セキュリティ上の脆弱性も懸念が残る。保管や送金のオペレーションには教育が要る。
大手のバイナンスの利用制限も影響する。市場は分断され、資金移動の安全性が下がる。非公式レートは公定レートを五割以上上回る局面が続く。流動性の薄さは価格統制の効果を損なう。
地政学と今後の展望
米国との緊張は強まっている。10月には米国防総省が空母を周辺に展開したとの報道があった。制裁と軍事的圧力は、暗号基盤の採用を加速させた。
一方で、国際規制への不整合はリスクだ。不履行はブラックリスト化を招きかねない。仮想通貨での賃金支払いも、実質価値の低下が政権の安定を脅かす。
制裁下の諸国は、このモデルを検証している。
