トークン化された金の時価総額は16日、過去最高の32億8,000万ドルに達したことが明らかになった。これは過去24時間で2.1%の増加となる。
トークン化された金は、ブロックチェーン上で実物の金をデジタルに表現した資産である。これにより、金の分割所有や迅速な決済が可能になり、分散型金融(DeFi)アプリケーションとの統合も進んでいる。
この分野は2019年頃から発展し始め、同年9月にローンチしたPAX Gold(PAXG)は、規制された最初の金連動トークンの一つとして知られる。
仕組みとしては、専門企業が安全な保管庫に実物の金を保管し、その所有権を表すデジタルなトークンを発行する。トークンと実物の金は1対1の関係で裏付けられ、定期的な監査によってその透明性が担保されている。
現在、市場はTether Gold(XAUT)とPAX Goldの2銘柄が支配的であり、両者で市場全体の時価総額の約89%を占めている。
金価格高騰と経済不安が追い風に
トークン化された金の時価総額急増には、複数の要因が重なっている。2025年に入り、世界の金価格が約47%上昇したことが、金に裏付けられたデジタル資産にとって大きな追い風となった。
経済の不確実性やインフレへの懸念が高まる中、多くの参加者が従来の金に代わるデジタルな安定資産として注目している。
ブロックチェーンの分析では、この記録達成に先立つ1週間で、2人の暗号資産(仮想通貨)の大口保有者(クジラ)が合計3,000万ドル(約45億3,000万円)以上のTether Goldを購入したことが明らかになった。
Whales are buying $XAUT(Tether Gold)!
casualpig.eth bought 4,463 $XAUT($18.7M) over the past week.
Whale 0xdfcA bought 2,879 $XAUT($12.1M) today.https://t.co/4ATUYIokm2https://t.co/Z1RlArgtxL pic.twitter.com/jejcyVUrOk
— Lookonchain (@lookonchain) October 15, 2025
具体的には、「Whale 0xdfcA」が2,879 XAUt(約18億2,700万円相当)、「casualpig.eth」が4,463 XAUt(約28億2,400万円相当)を取得している。
この動きは、直前の10月13日から15日にかけて、実物の金CFD価格が1オンスあたり4,196ドル(約63万4,000円)から最高4,218ドル(約63万7,000円)へと史上最高値を更新した金市場全体のラリーと連動している。
市場の将来性と課題
トークン化された金の時価総額は32億8,000万ドルに達したが、これは金市場全体の時価総額29兆2,700億ドル(約4,420兆円)のわずか0.01%に過ぎない。しかし、その成長速度は目覚ましく、1日の取引高は6億ドル(約906億円)を超える規模に拡大している。
CMCC Global Capital Marketsのアレックス・タプスコットCEOは、「これまでで最も急成長しているトークン化資産のカテゴリー」と評価した。同氏によれば、市場は2025年初頭の5億ドル(約755億円)未満から約30億ドル(約4,530億円)へと成長したという。
24時間いつでも送金可能である点や、即時決済ができる利便性が普及を後押ししている。一方で、流動性が一部の取引所に集中している点や、保管状況の透明性を維持する必要があるなど、課題も残る。
専門家は、米国の利下げ観測や地政学的リスクなどを背景に、市場は今後も拡大する可能性があるとみている。
