貴金属市場の銀(シルバー)価格は12日、史上最高値を更新する64.36ドル(約1万40円)を記録した。
FRBの利下げとドル安が価格を後押し
トレーディング・エコノミクスのデータによると、銀価格は12日にトロイオンスあたり64.36ドル(約1万40円)という前例のない水準に達した。
これは前日比で1.29%の上昇であり、過去の記録を塗り替える歴史的な節目となった。この貴金属は驚異的な勢いを見せており、過去1ヶ月間で23.06%の上昇、前年同期比では111.27%もの急騰を記録している。
週初めの9日時点では58.60ドル(約9140円)で取引されていたことから、わずか3日間で価格上昇が加速したことがわかる。
この歴史的な価格高騰の背景には、複数の要因が絡み合っている。特に米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が重要な役割を果たした。
市場はFRBによる0.25%の利下げと、パウエル議長の発言を比較的ハト派的(金融緩和に前向き)であると受け止めた。
利下げ自体は市場に織り込み済みであったものの、議長の発言とそれに伴う米ドル安が、利子を生まない資産である貴金属の保有コストを引き下げ、価格を押し上げる要因となった。
また、インフレへの懸念も銀の地位を高めている。フォーチュン誌は、インフレ懸念が重荷となる場合、貴金属がヘッジ(回避策)として機能すると指摘している。
こうしたマクロ経済的な要因は、一般的にビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)市場にも影響を与える要素として知られているが、今回の銀価格の高騰がビットコイン市場に直接的な影響を与えたという具体的なデータは確認されていない。
しかし、投資家の間ではリスク分散の観点から、貴金属だけでなく仮想通貨投資への関心も継続している。
産業需要の拡大と市場の警戒感
需給バランスの変化も価格上昇の重要な要因だ。供給が制約される一方で、再生可能エネルギーからエレクトロニクスに至るまで、産業用途での需要が増加している。
これに投資家からの需要も加わり、銀価格を押し上げている状況だ。フォーチュン誌によると、銀の2025年のパフォーマンスは金(ゴールド)を上回っている。
金は9日時点で4200.03ドル(約65万5200円)で取引されていたが、銀の上昇率はそれを凌駕する勢いを見せている。
一方で、市場には短期的な変動(ボラティリティ)への警戒感もある。スタンダードチャータード銀行は、短期的な価格変動のリスクについて警告を発している。
実際、12日の日中取引では、朝の高値からわずかに下落し、63.50ドル(約9900円)付近で推移する場面も見られた。
銀の市場規模は金に比べて小さいため、価格変動が大きくなりやすい傾向がある。プラチナやパラジウムと同様に、市場の小ささが価格の振れ幅を増幅させる可能性があるため、市場参加者は慎重な姿勢も崩していない。
こうした価格変動の激しさは、アルトコイン市場の動向とも共通する特徴と言えるだろう。
