ブロックチェーン技術開発を手掛けるHashPort(ハッシュポート)は28日、加盟店と消費者の双方が手数料無料で利用できるステーブルコイン決済サービスの提供を開始した。
この新サービスは、スマートフォンやタブレットを用いたQRコード決済システムだ。
消費者は専用アプリ「HashPort Wallet」を使用して店舗のQRコードを読み取り、購入金額相当のステーブルコインを送金する仕組みとなっている。
加盟店側はアプリをダウンロードしてアカウント登録を行うだけで導入が可能であり、初期費用や決済手数料は発生しない。
現在、イーサリアム、ポリゴン、アプトス、ベースといった複数のブロックチェーンネットワークに対応しており、米ドル連動のUSDCや日本円連動のJPYCなどのステーブルコインが利用できる。
万博での実績を基盤に展開
同社は2025年の大阪・関西万博において公式デジタルウォレットを開発・提供した実績を持つ。
万博期間中には590万件以上の取引を処理し、累計ダウンロード数は約115万回に達した。この「EXPO2025デジタルウォレット」は2025年10月に「HashPort Wallet」としてリニューアルされ、今回の決済サービスはその基盤を活用したものだ。
従来のキャッシュレス決済システムでは、加盟店が決済ごとに2〜5%程度の手数料を負担するのが一般的であり、特に中小規模の事業者にとっては収益を圧迫する要因となっていた。
今回のサービスは手数料を無料化することで、こうした課題の解決を図る狙いがある。決済基盤としては、イーサリアムなどの主要なブロックチェーンとの互換性が重要視されている。
インバウンド需要の取り込み
HashPortは当初のターゲットとして、ステーブルコインを保有する訪日外国人観光客を想定している。
ステーブルコインの市場規模は約3000億ドル(約45兆9000億円)に達しており、特にドル建ての銘柄は世界的に普及が進んでいる。
レストランや小売店での利用を促進することで、外貨両替の手間を省き、観光客の利便性を高めることが期待される。日本国内では、日本円連動ステーブルコインであるJPYCの利用拡大も注目されている。
同社は2025年末にKDDIとの戦略的提携を結び、Pontaポイントシステムとの統合を進めるなど、国内の決済エコシステムにおける地位を強化している。
また、2025年11月にはフィンテック企業のNudgeと協力し、日本初となるステーブルコインクレジットカード「HashPort Card」を発行した。
今後は、ウォレット残高からの自動引き落とし機能を2026年初頭に導入する計画だ。
ブロックチェーンやWebに関する専門知識がないユーザーでも容易に利用できる環境を整備し、デジタル通貨決済の普及を目指している。このようなWeb3ウォレットの進化は、一般層への普及において重要な鍵となるだろう。
