米資産運用大手のフィデリティ・インベストメンツは4日、独自のステーブルコイン「フィデリティ・デジタル・ダラー(FIDD)」の提供を開始した。この新しいデジタル通貨は、暗号資産(仮想通貨)市場における同社の存在感をさらに高めるものとなる。
FIDDの発行は、同社傘下のフィデリティ・デジタル・アセットが担当する。
このトークンはイーサリアム(ETH)ブロックチェーン上で発行され、米ドルと1対1の価値を維持するよう設計されている。裏付け資産は現金、現金同等物、および短期米国債で構成され、その管理はフィデリティ・マネジメント&リサーチが担う。
規制環境の変化と市場参入
今回の市場参入には、2025年7月に米国で成立した「GENIUS法」が大きく影響している。
この法律により決済用ステーブルコインの連邦規制枠組みが明確化されたことで、伝統的な金融機関が自信を持って参入できる環境が整った。フィデリティ・デジタル・アセットは、2025年12月に米通貨監督庁(OCC)から運営認可を取得している。
ステーブルコイン市場は現在、時価総額が3160億ドル(約49兆6120億円)を超える規模に拡大している。フィデリティ・デジタル・アセットのマイク・オライリー社長は、長年にわたりデジタル資産エコシステムの変革力を信じ、ステーブルコインの利点を研究してきたと述べた。
同社は、この成長市場において自社の資産運用ノウハウを活用する方針だ。市場の拡大に伴い、仮想通貨長期保有を検討する投資家も増えている。
機関投資家向けの利便性と透明性
FIDDは、従来の銀行営業時間に関わらず、365日いつでも即時の決済を可能にすることを重視している。これにより、数日かかる決済サイクルの摩擦を解消し、機関投資家は資金を効率的に運用できるようになる。
ブロックチェーン上の送金は、従来のACHネットワークよりも安価で迅速である点が大きな利点だ。効率的な運用のためには、使いやすい仮想通貨ウォレットおすすめの情報を集めておくことも重要である。
透明性を確保するため、同社はFIDDの流通量と純資産価値を毎日ウェブサイトで公開する措置を講じている。また、不正な活動に関連するアドレスを凍結する機能も備えており、コンプライアンスを重視する姿勢を明確にしている。FIDDは、同社のプラットフォームや主要な仮想通貨取引所を通じて利用可能となる。
アナリストは、フィデリティの動きに続き、他のウォール街の大手金融機関も同様の発表を行う可能性があると予測している。サークル(USDC)やテザー(USDT)といった既存の競合に対し、フィデリティは規制遵守と信頼性を武器にシェア獲得を目指す。
