米連邦捜査局(FBI)は5日、米連邦保安局(USMS)から巨額の暗号資産(仮想通貨)を盗んだ容疑で男を逮捕した。
政府管理の仮想通貨が流出
FBIのカッシュ・パテル長官の発表によると、ジョン・ダギータ容疑者はカリブ海のシント・マールテン島で逮捕された。FBIとフランス当局の合同作戦によるものだ。
同容疑者はUSMSから4600万ドル(約72億6800万円)以上の仮想通貨を盗んだ疑いが持たれている。
ダギータ容疑者は、USMSと契約を結ぶテクノロジー企業コマンド・サービシズ・アンド・サポート(CMDSS)のディーン・ダギータ社長兼CEOの息子だ。
同社は押収された仮想通貨の管理や処分を請け負っていた。ブロックチェーン調査員が政府保有のウォレットへの不正アクセスを発見したことで、今回の疑惑が浮上した。
捜査の結果、ダギータ容疑者が政府の押収資産を保管するウォレットに不正アクセスし、資金を私的に流用した疑いが強まった。
調査員の分析によると、同容疑者に関連する1つのウォレットには巨額の資金が保管されていた。約3600万ドル(約56億8800万円)相当の1万2540イーサリアム(ETH)だという。
政府のセキュリティ体制に懸念
今回の盗難は、CMDSSがUSMSと結んだ連邦IT契約の有効期間中に発生した。この契約は2024年10月に締結され、押収されたデジタル資産の管理を目的としていた。
流出した資産には、2016年の仮想通貨取引所ビットフィネックス(Bitfinex)のハッキング事件で押収された資金が含まれていたと報じられている。
この事件は、米国政府による仮想通貨の保管方法に脆弱性があることを浮き彫りにした。連邦政府は現在、数百億ドル規模となる19万8000から30万以上のビットコイン(BTC)を管理している。
SMSのセキュリティ体制や、契約企業の従業員を通じた内部アクセスの悪用リスクについて懸念が高まっている。
ブロックチェーンの分析では、複数のウォレットアドレスがUSMSの管理資産と関連づけられた。2024年10月には約2000万ドルが引き出され、その大半は返還されたものの、約70万ドルは回収不能となった。
2025年後半の動きを含めると、被害総額は9000万ドル(約142億2000万円)を超える可能性もある。ダギータ容疑者がどのようにアクセス権を得たのかは、現在も明らかになっていない。
今回の事件は、政府機関であっても仮想通貨詐欺や盗難のリスクと無縁ではないことを示している。
