欧州の主要銀行12行で構成するコンソーシアムは3月上旬、ユーロ連動型ステーブルコインの発行に向けた新会社Qivalis(キバリス)の設立を発表した。
欧州の金融主権を目指す銀行主導のプロジェクト
キバリス・アライアンスは、BNP Paribas(BNPパリバ)やINGなど欧州を代表する12の金融機関が参加する共同事業体だ。
オランダ中央銀行の監督下で、欧州の暗号資産市場規則(MiCA)に完全に準拠したデジタル通貨の発行を目指している。
新会社の最高経営責任者(CEO)には、Coinbase(コインベース)のヤン・オリバー・セル元幹部が就任した。
現在のデジタル決済市場は、米ドルに連動するステーブルコインが圧倒的なシェアを占めている。
欧州の銀行連合は独自のユーロ建てステーブルコインを提供し、ドルへの依存度を下げる構えだ。
民間企業が発行する既存の暗号資産(仮想通貨)とは異なり、伝統的な金融機関が裏付けとなることで高い信頼性を確保し、欧州の金融主権を維持する。
このような動きは、ビットコインなどの分散型資産とは異なるアプローチとして注目されている。
セルCEOは、機関投資家向けの安全なオンチェーンインフラを構築する方針を強調している。同コンソーシアムは他の銀行の新規参加も歓迎しており、欧州全体での決済システムの効率化を推進していく。
銀行主導の取り組みは、規制当局が懸念する民間ステーブルコインによる預金流出リスクの軽減にもつながる。
厳格な準備金管理と2026年後半のローンチ計画
新たに発行されるステーブルコインは、ユーロの価値と1対1で連動する仕組みを持つ。
裏付けとなる準備金は厳格な規制基準を満たすよう管理され、最低40%を伝統的な銀行預金として安全に保管する。
残りの資金は複数のユーロ圏諸国が発行する高格付けの短期国債に割り当て、特定の資産に依存するリスクを回避する。
利用者は24時間365日、いつでもステーブルコインを法定通貨のユーロに交換できる。現在は2026年後半のサービス開始を目標に、規制当局との対話やシステムの準備を進めている段階だ。
同時に、仮想通貨取引所やマーケットメーカーとの間で、広範な流通網を構築するための提携協議も大詰めを迎えている。将来的に一般ユーザーが利用する際には、仮想通貨買い方を学ぶことでスムーズな導入が可能になるだろう。
初期段階では、仮想通貨の取引やデジタル資産の決済における迅速で低コストな送金手段として機能する。長期的には、国境を越えた企業間決済やサプライチェーンの資金管理など、幅広い実体経済への応用を見込んでいる。
欧州内の分断された決済システムを統合し、フィンテック企業に信頼できる基盤を提供することが期待される。
また、企業や個人がデジタル資産を扱う上で、仮想通貨税金の適切な理解も不可欠となる。
