米暗号資産(仮想通貨)取引所大手のCoinbase(コインベース)は21日、量子コンピューティング技術がもたらすセキュリティ上の脅威に対処するための独立諮問委員会を設立した。
同委員会は、量子計算、暗号技術、ブロックチェーン技術の第一人者を集結させ、リスク評価や業界への指針提供を行うことを目的としている。メンバーには、テキサス大学のスコット・アーロンソン氏やスタンフォード大学のダン・ボネ氏らが名を連ねている。
また、イーサリアム(ETH)の研究者であるジャスティン・ドレイク氏や、コインベースの暗号技術責任者イェフダ・リンデル氏も参加する。ハーバード大学やカリフォルニア大学の学術関係者も加わり、長期的なセキュリティ確保に向けた提言を行う予定だ。
量子コンピュータがもたらすリスク
コインベースは、量子コンピュータが実用化された場合、ビットコイン(BTC)やイーサリアムなどの主要なブロックチェーンの暗号基盤が脅かされる可能性があると指摘している。
特に古い形式のウォレットに保管されたビットコインの20%から50%が脆弱になる恐れがあるという。そのため、セキュリティの高いビットコインウォレットおすすめランキングなどを参考に、保管方法を見直すユーザーも増えている。
専門家の多くは、この脅威が顕在化するのは少なくとも10年先であると予測している。しかし、ブラックロックやUBSなどの金融機関は、量子技術が秘密鍵を特定する可能性について警鐘を鳴らしており、業界内での認識が高まっている。
一部の投資家は、このリスクを懸念してポートフォリオからビットコインを外し、金(ゴールド)へ資金を移動させる動きも見せている。一方で、暗号資産コミュニティ内では、対策の緊急性について意見が分かれているのが現状だ。
長期的なセキュリティ戦略の構築
コインベースの最高情報セキュリティ責任者であるジェフ・ラングホファー氏は、現代の暗号技術が「数千年かかる数学的難問」に依存していると説明した。しかし、量子コンピュータはその計算能力で問題を瞬時に解決する可能性があるため、事前の対策が不可欠だとしている。
同社は「ポスト量子セキュリティ戦略」の一環として、ビットコインのアドレス処理プロトコルの更新や、内部鍵管理システムの強化を進めている。委員会は今後1〜2ヶ月以内に最初のポジションペーパーを公開し、具体的な対策を提言する予定だ。
コインベースのリンデル氏は、量子技術が技術的な機会であると同時にセキュリティ上の課題でもあると述べた。
業界が受動的ではなく、能動的に準備を進めることで、デジタル資産の安全性を確保していく姿勢を強調している。
