米仮想通貨取引所大手のコインベースは10月31日、ステーブルコインのインフラを提供するスタートアップBVNKを約20億ドル(約3,080億円)で買収する交渉が最終段階にあることが明らかになった。
この交渉はデューデリジェンス(適正評価)を経て行われ、まだ最終決定には至っていない。
BVNKは2021年にロンドンで設立された企業だ。企業向けにステーブルコインの決済インフラを提供し、事業者がさまざまな形式で支払いを受け付けることを可能にする。
コインベースの投資部門であるコインベース・ベンチャーズは、既にBVNKへの出資者の一つとなっている。
買収の背景とコインベースの戦略
この買収は、早ければ2025年後半から2026年初頭に完了する可能性がある。
この動きは、コインベースがステーブルコインの決済能力を拡大し、収益源を取引手数料以外に多様化するための戦略的な一手と見られている。
2025年第3四半期には、ステーブルコイン関連の収益はコインベース全体の約20%を占めていた。
ステーブルコイン事業強化の背景には、最近米国で成立した「GENIUS Act」の影響がある。この法律はステーブルコインの規制の枠組みを提供し、企業の関心を高める触媒となった。
コインベースはマスターカードなどの競合他社に先んじて独占交渉権を獲得したとされ、ブロックチェーン基盤の決済市場の成長に対応する構えだ。
このような企業の動きは、個人の仮想通貨投資にも新たな選択肢をもたらす可能性がある。
注目されるBVNKの技術力と将来性
BVNKは、シティ・ベンチャーズやビザなど著名な投資家から約9,000万ドル(約138億6,000万円)を調達している。
同社の技術は、国境を越えた取引をほぼ瞬時に行うことができ、法定通貨とステーブルコインの相互変換を可能にする。
特に、USDCのような主要なステーブルコインはイーサリアム(ETH)のブロックチェーン上で発行されているため、その技術基盤も重要となる。
また、BVNKは「ISO 27001」や「SOC 2 Type II」といった高度なセキュリティ認証を取得済みだ。APIを通じて既存のシステムとシームレスに統合できるため、マーケットプレイスや旅行、ゲーム、フリーランスへの支払いなど、多様な分野での活用が期待される。
今回の買収が実現すれば、コインベースにとってステーブルコイン分野と機関投資家向け決済市場での地位を強化する重要な一歩となる。
同社は自社のステーブルコインUSDCを活用し、規制に準拠したグローバルなデジタル決済エコシステムの構築を目指している。
米国の規制整備と市場需要の高まりが、この戦略を後押ししていると言えるだろう。
