米資産運用会社ARK Invest(アーク・インベスト)は23日、暗号資産(仮想通貨)取引所大手のCoinbase(コインベース)やステーブルコイン発行企業Circle(サークル)などの株式を買い増した。
キャシー・ウッド氏率いる同社は、市場全体が調整局面にある中で、関連銘柄への保有比率を高める動きを見せている。
同社の報告によると、旗艦ファンドである「ARK Innovation ETF(ARKK)」はコインベース株を3万8854株取得し、「ARK Fintech Innovation ETF(ARKF)」も同社株を3325株追加した。
これにより、コインベースへの新たな資金配分は合計で約940万ドル(約14億8500万円)に達した。
また、両ファンドはサークル株を12万9446株、Bullish(ブリッシュ)株を8万8533株取得しており、それぞれの取得額は約920万ドル(約14億5000万円)と約320万ドル(約5億円)とみられる。
下落局面での戦略的取得
今回の取引は、ARKにとって2026年に入ってから初の本格的な仮想通貨関連株の取得となる。
購入当日、コインベースの株価は2.77%下落し216.95ドル(約3万4200円)で取引を終えており、仮想通貨市場全体の低迷を反映していた。
サークル株もわずかに値を下げていたが、同社はこうした価格の押し目を好機と捉え、あえて買い向かう姿勢を示した形だ。
この資金を捻出するため、ARKはポートフォリオのリバランスも実施している。報道によると、同社はMeta Platforms(メタ・プラットフォームズ)の株式を1万2400株売却した。
ハイテク株の一部を利益確定または整理し、確信度の高い仮想通貨関連のインフラ企業へと資金をシフトさせる明確な意図がうかがえる。
ARKは以前、仮想通貨関連株がファンドのパフォーマンスを押し下げる要因になっていたことを認めていた。
2025年後半の四半期報告では、コインベース株の下落がARKKなどの主要ETFにとって「主な弱点の源」であったと指摘されている。
特に10月の流動性イベント以降、中央集権型取引所の取引量が減少し、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といった主要銘柄以上に株価が低迷していた経緯がある。
長期的な市場拡大への期待
短期的な逆風にもかかわらず、ARKが関連株を積み増す背景には、仮想通貨市場の長期的な成長に対する揺るぎない自信がある。
同社の「Big Ideas 2026」レポートでは、仮想通貨市場が将来的に28兆ドル(約4400兆円)規模に拡大すると予測しているほか、ビットコイン価格が2030年までに150万ドル(約2億3700万円)に達するとの見通しを示している。
今回の動きは、単なる価格反発狙いではなく、市場のインフラを支える企業への規律ある配分といえる。
サークルが発行するステーブルコイン「USDC」はオンチェーンでの流動性や法定通貨との交換において重要な役割を果たしており、ブリッシュも消費者向けの取引プラットフォームとして独自の地位を築いている。
ARKは、規制の明確化が進み機関投資家の参入が加速すれば、こうしたインフラ企業のファンダメンタルズが市場をアウトパフォームすると分析しているようだ。
また、ARKは最近、新たな仮想通貨インデックスETFの申請も行っており、エコシステム全体へのアクセスを多様化させようとしている。
市場のボラティリティ(価格変動)は続くと予想されるものの、今回の買い増しは、デジタル資産経済の多年にわたる拡大から恩恵を受ける企業への長期的なコミットメントを再確認するものとなった。
