キルギス共和国で2日、新たに設立されたデジタル資産銀行を巡り、同国大統領と世界最大手の暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスの創業者の間で、設立経緯に関する主張が食い違い、情報が錯綜している。
大統領「CZ氏が提案」、本人は「関与否定」
キルギスのサディル・ジャパロフ大統領は最近、カバル通信社との公式インタビューで、国内初のデジタル資産銀行「Bereket Bank」の設立を発表した。
同大統領は、この銀行がバイナンスの創業者であるチャンポン・ジャオ(CZ)氏からの提案で実現したと説明。海外からの大規模な資金誘致と仮想資産分野への注力を目的としているという。
ジャパロフ大統領は、このプロジェクトが完全に民間の事業であり、政府や自身の家族が一切関与していない点を強調した。
しかし、この発表に対し、CZ氏本人が異議を唱えた。
同氏は自身のSNSアカウントで、銀行設立を自ら提案した事実はないと明確に否定。「銀行設立につながる話をしたことはなく、関係者も知らない」と述べ、プロジェクトへの関与を一蹴した。
なお、この否定の投稿は後に削除されており、事態の真相を巡る混乱に拍車をかけている。
深まる謎、協力関係の先にあった食い違い
今回の情報錯綜の背景には、バイナンスとキルギス政府が以前から協力関係にあった事実がある。
バイナンスは過去に、同国での仮想通貨に関する教育支援や規制整備のコンサルティングなどで協力してきた経緯があった。
また、同社のような大手海外仮想通貨取引所が新興国の市場開拓に協力する例は増えている。
こうした関係性が、今回の大統領による「CZ氏の提案」という発言につながった可能性も考えられるが、憶測の域を出ない。
ジャパロフ大統領の公式発言と、CZ氏本人による否定。両者の主張が真っ向から対立している現在、Bereket Bank設立の正確な経緯は依然として不透明だ。
この一件は、グローバルに展開する仮想通貨ビジネスにおいて、公的機関と民間企業の間のコミュニケーションの難しさや、情報源の信頼性を見極める重要性を浮き彫りにした。
こうした不確実性は、仮想通貨投資におけるリスクの一つとして認識しておく必要がある。
仮想通貨市場の関係者は、今後のキルギス政府およびCZ氏側からの新たな情報開示を注視している。
