暗号資産(仮想通貨)取引所ジェミニは16日、同社のレンディングプログラムに関するSECとの訴訟で、暫定的な和解に合意した。
和解内容は2025年9月16日にマンハッタン連邦地裁へ提出された文書で明らかとなった。
ロイターによると、双方の弁護士は和解文書の調整期間中、訴訟のすべての期限を12月15日まで一時停止するよう裁判所に要請している。
この訴訟は、2023年にSECがジェミニとジェネシスを未登録証券の提供で提訴したことに始まる。
問題とされた「Earnプログラム」は、顧客が仮想通貨を貸し出して利息を得る仕組みで、ピーク時には約34万人が利用していた。
訴訟の背景とジェネシスの破綻
問題が深刻化したのは2022年11月、FTXの破綻を受けてジェネシスが出金を凍結したことによる。ジェネシスはその後2023年1月に破産を申請し、約9億ドル相当の顧客資産が凍結される事態となった。
ジェネシスは以前、不正行為を認めることも否定することもなく2,100万ドルの罰金を支払うことでSECと和解していた。一方、ジェミニは今回の暫定合意に至るまで、容疑に異議を唱える姿勢を維持していた。
この和解は、創業者であるタイラーとキャメロンのウィンクルボス兄弟にとっても大きな意味を持つ。IPO成功後、それぞれ推定46億ドルの純資産を持つ両氏にとって、2023年1月の提訴以来続いていた主要な規制上の懸念材料が取り除かれることになる。
和解を後押しした市場と規制の変化
今回の和解は、市場の大きな変化と規制の転換が影響している。ジェネシスの破産は両社に法的な問題を解決するよう大きな圧力をかけた。
また、和解のタイミングは、ジェミニが数日前に4億2500万ドルの新規株式公開(IPO)を成功させた直後と重なる。同社の評価額は33億ドルに達し、株価も好調なことから、市場の強い信頼が示されている。
決定的な要因の一つは、2025年1月に現政権が発足して以降見られるSECの規制アプローチの変化である。SECの公式方針文書によると、委員会は前政権の積極的な執行姿勢と比較して、仮想通貨セクターに対する監督姿勢を大幅に緩和している。
この新しい仮想通貨規制方針が、係争中の案件を解決しやすい環境を生み出した。
裁判資料によると、ジェミニは現在「Gemini Space Station」という正式名称で事業を展開しており、株式公開企業への移行に合わせてこの和解を戦略的に位置づけている。
ただし、この暫定合意は、標準的な手続きに従い、SEC委員による正式な承認が必要である。
この解決は、2022年後半から資産を凍結されていた約34万人のEarnプログラム利用者にとって部分的な区切りとなるが、資産の全額回収は進行中のジェネシスの破産手続きに委ねられている。
