Binance(バイナンス)の創業者であるチャンポン・ジャオ(CZ)氏は27日、香港クリプトファイナンスフォーラムで講演し、暗号資産(仮想通貨)業界の将来について包括的な分析を公表した。
同氏はステーブルコインの進化、現実資産(RWA)の課題、DEXの可能性など5つの主要テーマに焦点を当て、業界の展望を語った。
香港の可能性と規制への提言
CZ氏は、香港が米国やアラブ首長国連邦に匹敵する主要な仮想通貨ハブになる潜在能力を持つとの見解を改めて示した。
純資産747億ドルで世界22番目の富豪とされる同氏は、その成功の鍵は規制変更の速度にあると強調する。
現在の香港では、認可された取引所が扱える仮想通貨はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、アバランチ(AVAX)、チェーンリンク(LINK)の4種類に限定されている。
CZ氏はこれを不十分だと指摘し、取引所が上場銘柄を決定できる日本のようなモデルの採用を提案した。
個別銘柄の将来性だけでなく、多様な資産へのアクセスが市場の成長に不可欠との考えを示唆した。
同氏は「ある場所の将来性を現状で評価すべきではない。変化の速さで評価すべきだ」と述べ、香港当局が持つWeb3.0への明確な支持姿勢と、他国に比べて迅速に行動できる点を高く評価している。
主要5分野の将来予測
講演でCZ氏は、業界の未来を形作る5つの重要な分野について具体的な見解を述べた。
まず、世界の取引量の約70%を処理するバイナンスの立場から、ステーブルコインが単なる価格変動の避難所から米ドルをグローバル化するツールに進化したと分析した。
RWAについては、単なる資産のトークン化ではなく取引の根本的な再構築であると定義した上で、その潜在能力を最大限に引き出すには規制と流動性の課題を克服する必要があると指摘した。
また、分散型取引所に関しては「DEXの取引量は10年以内にCEX(中央集権型取引所)を超える」と大胆に予測し、市場構造の大きな転換が起こるとの見方を示した。
さらに、デジタル資産財務モデルを伝統的な投資家にとっての新たな道と位置づけ、機関投資家の資金をデジタル資産市場に呼び込む架け橋になると期待を寄せた。
AIとブロックチェーンの関係については、まだ初期段階の課題を認めつつも重要かつ共生関係にあると述べ、技術融合がもたらす革新的な取引モデルの可能性に言及した。
ビットコインと業界の長期展望
ビットコインの役割について、CZ氏は世界的な準備資産としての可能性に触れ、香港がその地域ハブになり得るとの見解を示した。
講演は、香港で28日から開催される主要カンファレンス「Bitcoin Asia 2025」の数日前に行われ、香港の仮想通貨エコシステムにおけるバイナンスの戦略的な位置付けを浮き彫りにした。
CZ氏は「仮想通貨の物語は始まったばかりだ」という楽観的な言葉で講演を締めくくり、業界の長期的な進化に対する強い信念を表明した。
同氏の発言は、香港の規制当局だけでなく、世界の仮想通貨市場参加者にとって重要な指針となりそうだ。
