ゆうちょ銀行は31日、2026年度に独自のデジタル通貨「DCJPY」を発行する計画を明らかにした。
このデジタル通貨は日本円と1対1の価値で連動し、利用者は預金口座から即時に交換できる。発行されたDCJPYは、証券トークンやNFTの取引における決済手段として利用される見込みだ。
ゆうちょ銀行、貯金をデジタル通貨に 金融資産の取引しやすくhttps://t.co/HtqaGrUHPY
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) August 31, 2025
190兆円の預金活性化と若年層獲得が狙い
この計画の背景には、ゆうちょ銀行が抱える約190兆円に上る預金の活性化と、デジタル金融サービスに親和性の高い若年層顧客の獲得という明確な狙いがある。
同行は国内に1億2000万口座を持つ日本最大の預金取扱金融機関であり、この巨大な顧客基盤がブロックチェーン技術に対応することになる。
DCJPYは、投機的な暗号資産(仮想通貨)や従来のステーブルコインとは異なり、既存の銀行制度の枠組み内で規制される預金トークンとして機能する。この取り組みは、不動産や債券といった現実資産をトークン化した金融商品への参加を促すことも目的としている。
同行はこれらの商品に3~5%のリターンを提供することで、低金利環境下で眠っている預金の活用を促す考えだ。これは、資産を預けて利回りを得るステーキングとは異なる仕組みだが、預金者に新たな収益機会を提供する点で共通している。
また、改正された金融商品取引法によって証券トークンの発行に関する法整備が進んだことも、この計画を後押しする要因となっている。
経営戦略に特化したボストンコンサルティンググループと、XRPを発行するリップル社の共同調査によると、トークン化された現実資産の市場規模は、2025年の6000億ドルから2033年には18兆9000億ドルまで拡大する見込みだ。
金融機関にとって大きな事業機会となりつつある。
Web3と融合する金融インフラの未来
DCJPYの導入は、日本の伝統的な銀行インフラとWeb3技術の戦略的な融合を意味する。
開発は、電気通信事業者インターネットイニシアティブジャパンの関連会社であるディーカレットDCPが担当し、パーミッション型のブロックチェーン基盤上で運営される。
これにより、パブリックブロックチェーンと比較して高度な規制監督が可能となり、安全性が確保される。
このシステムが実現すれば、現在数日を要することもあるトークン化証券の決済がほぼ瞬時に完了し、金融取引の効率が劇的に向上する。
さらに、ディーカレットDCPはすでに政府機関と連携し、DCJPYを地方自治体の給付金配布に利用する実証実験を検討しており、公共サービスへの展開も視野に入れている。
この動きは、中央銀行が発行する中央銀行デジタル通貨とは一線を画す。DCJPYはあくまで商業銀行の負債である預金をトークン化したものであり、民間主導のデジタル金融改革の一環と位置づけられる。
ゆうちょ銀行の全国ネットワークを通じて普及が進めば、日本国内における仮想通貨の実用化に向けた大きな一歩となる。
