SEC方針展開、DeFi規制など14件を撤回|仮想通貨に追い風

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SECの規制緩和を象徴する、握手するロゴと壊れた鎖のイラスト

米SECは13日、ゲーリー・ゲンスラー前委員長時代に提案された複数の規制案を正式に撤回した

今回の決定により、2022年3月から2023年11月にかけて提案された14の規則案が白紙に戻される。

これには、暗号資産(仮想通貨)業界が強く懸念していた規制も含まれる。

撤回された主要な規則案には、DeFi取引所に運営や情報開示の要件を課す規則3b-16がある。

また、資産保管に関する保護強化を求める拡大保管規則や、企業のESG戦略開示を厳格化する提案も取り下げられた。

規制方針の転換と政治的背景

今回の決定の背景には、SEC指導部の交代に伴う方針転換がある。

新しい指導部は、イノベーションを促進し、行き過ぎた法執行を抑制する姿勢を明確にしている。この動きは、ゲンスラー前委員長時代の厳格な規制路線からの大きな変化を示すものだ。

また、政治的な圧力も大きな要因となった。

フレンチ・ヒル下院金融サービス委員長をはじめとする共和党議員らは、提案された14の規則のうち10件が不要であると主張し、撤回を強く要請していた。

さらに、提案された規則の多くが、利益相反のガバナンスや詐欺防止規定といった既存のSEC規則と重複するとの指摘もあった。

規制の冗長性に対する懸念が、今回の撤回を後押しした形だ。

仮想通貨市場への影響と今後の展望

この規制案の撤回は、仮想通貨市場、特にDeFiプラットフォームに対するSECの姿勢が軟化したシグナルと受け止められている。

規則3b-16はDeFi分野に大きな影響を及ぼすと見られていただけに、業界は安堵している。

業界団体やヒル委員長は、投資家保護と規制効率のバランスを取る動きとして、この決定を歓迎する声明を発表した。

特にDEXの運営者にとっては朗報と言えるだろう。

一方で、今回の撤回が全ての規制緩和を意味するわけではない。

既存の保管規則やサイバーセキュリティに関する監督など、基本的な投資家保護の枠組みは引き続き有効である。

そのため投資家は、安全なコールドウォレットの使用といった自己防衛策を引き続き検討する必要がある。

今回の動きは、ゲンスラー時代の過剰な規制に対する批判を受け、より合理化された監督体制を目指すSECの新たな方向性を示すものと言えるだろう。

このような規制環境の変化は、ビットコイン(BTC)をはじめとする主要な仮想通貨の価格動向にも影響を与える可能性がある。

著者: 早下 光

暗号資産ライター。2019年からの仮想通貨市場経験を基に、ブロックチェーン技術の基礎から応用、最新ニュースまで、正確・深い情報で読者の理解をサポートします。