英国破産局、初の仮想通貨専門家を任命|資産追跡を強化

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英国の国旗と仮想通貨のシンボルが描かれたデジタル背景

英国の政府機関である破産局は9日、初の専任となる暗号資産(仮想通貨)インテリジェンス専門家を任命したと発表した

この役職には、元警察の経済犯罪捜査官であるアンドリュー・スモール氏が就任した。同氏は、破産や会社清算手続きにおいて、仮想通貨資産の追跡、査定、回収を監督する。

スモール氏の役割は、同局の調査執行サービス部門に属し、特に犯罪行為や複雑なデジタル資産の所有権が絡む事件に焦点を当てる。

急増する仮想通貨関連の破産と回収額

破産局によると、回収可能な暗号資産(仮想通貨)資産を含む破産案件は、2019/20年度から2024/25年度にかけて14件から59件へと420%増加した。

回収された仮想通貨の価値も、同期間で1,436ポンド(約29万円)から52万3,580ポンド(約1億500万円)へと364倍に急増している。

同局は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、ライトコインなどの仮想通貨、NFT、各種トークンを含むデジタル資産を特定することで、債権者への価値の最大化を目指す。

専門家任命の背景と戦略的重要性

この任命の背景には、英国における仮想通貨所有者の増加がある。現在、英国の成人のおよそ12%にあたる700万人が仮想通貨を保有しており、2021年の4.4%から大幅に増加した。

仮想通貨の主流化に伴い、破産財産にデジタル資産が含まれるケースが増加している。しかし、仮想通貨は匿名性が高く技術的にも複雑なため、その追跡と清算には専門知識が不可欠である。

同局のインテリジェンス責任者であるニール・フリーベリー氏は、デジタル資産の所有権が関わる破産手続きに対応するため、能力強化の必要性を強調した。

スモール氏は、「私の目標は、破産局が仮想通貨技術をより深く理解し、効果的に追跡できるよう支援することだ」と述べている。

この動きは、デジタル資産の規制と回収に対する英国の積極的な姿勢を示すものと言えるだろう。こうした取り組みは、イーサリアムをはじめとする多様なブロックチェーン資産に対する監督強化の一環と見なされている。

著者: 峯 竜也

暗号資産とブロックチェーン技術に特化したジャーナリスト。業界の最新動向や市場分析を発信。技術的な深掘りから初心者向けガイドまで、幅広い読者に向けたコンテンツ制作を得意とする。