イーサリアムはどこまで下がる?弱気相場の影響と将来予測

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イーサリアムの価格下落を示す赤いローソク足チャートと弱気相場のイメージ

Yuga Labsのブロックチェーン担当副社長であるQuit氏は、仮想通貨市場が新たな弱気相場に突入した場合、イーサリアム(ETH)の価格が200~400ドルまで下落する可能性があると指摘した。

3月11日、Quit氏はX(旧Twitter)で、イーサリアムの価格予測に対する楽観論に疑問を投げかけた。多くの投資家は1,500ドルがETHの下限と見ているが、過去の傾向を考慮すると、弱気相場では80~90%の下落が発生する可能性があるという。その場合、ETHは200~400ドルの水準にまで落ち込む可能性があると述べた。

また、イーサリアムは過去1週間で30%、過去3カ月で50%の下落を記録しているが、これは必ずしも底値ではないと指摘。歴史的に見ても、本格的な弱気相場ではさらに価値が失われることがあると警告した。

クジラの動向と市場の反応

Quit氏は依然としてイーサリアムに対して強気の姿勢を維持しているが、大幅な下落に備えたポートフォリオの見直しを投資家に推奨している。

実際に、大口投資家(クジラ)はすでに価格下落に備えた動きを見せている。3月11日、ブロックチェーン分析プラットフォームLookonchainは、イーサリアム財団のウォレットが最近MakerDAO(メーカーダオ)に30,098ETH(約56.08百万ドル、約84億円)を預けたことを報告した。これにより、清算価格を引き下げる狙いがあるとみられる。このウォレットは現在、MakerDAO上で100,394ETH(約182百万ドル、約273億円)を保有しており、清算価格は1,127ドルに設定されている。

また、イーサリアムのICO(Initial Coin Offering)で取得したETHを保有しているクジラも7,000ETH(約12.94百万ドル、約19.4億円)をKraken(クラーケン)に送金したことが確認されており、市場への売り圧力が高まる可能性がある。

イーサリアムの価格低迷の要因

イーサリアムの価格が下落している理由として、以下の要因が挙げられる。

  1. ネットワークの利用低下
    イーサリアムのネットワーク活動が減少しており、取引手数料(ガス代)が低下していることが影響している。

  2. 機関投資家の需要低迷
    機関投資家の関心が減少し、イーサリアムのスポットETF(上場投資信託)からの資金流出が続いている。SoSoValueのデータによると、過去1週間で約1.19億ドル(約178億円)の資金が流出した。

  3. 競争の激化
    より手数料が安く、処理速度の速いブロックチェーンの台頭により、イーサリアムの優位性が脅かされている。特にHyperliquid(ハイパーリキッド)やBerachain(ベラチェーン)といった新興プラットフォームは、数十億ドル規模の資金を集めており、分散型金融(DeFi)市場のシェアを拡大している。

  4. ステーキングのインセンティブ不足
    スポットETH ETFにはステーキング報酬が含まれていないため、年利4.5%の安定したリターンを提供するDeFiのステーブルコイン運用と比べて魅力が薄いと指摘されている。

  5. ETHのインフレ化
    EIP-1559による手数料の一部焼却(バーン)が実施されているものの、新規発行が上回り、ETHの供給量は年間0.7%増加している。このため、以前のようなデフレ資産としての側面が弱まっている。

今後の見通し

イーサリアムが以前の2,600ドルのサポートラインを回復するためには、ETFのステーキング報酬やDeFi需要の回復が必要と考えられる。しかし、現在の市場環境では、これらの要素がすぐに改善する兆しは見えていない。

執筆時点で、ETHの価格は1,850ドル(約27.8万円)で取引されており、過去24時間の清算額は2.46億ドル(約369億円)に達している(Coinglassデータより)。また、アルトコイン全体の市場にも影響が及んでおり、投資家の慎重な姿勢が続いている。特に、新しい仮想通貨のプロジェクトは資金調達や市場の流動性確保が難しくなっており、今後の市場動向には注意が必要だ。

佐々 道幸

日本版ICOBench編集者。2016年から仮想通貨投資を開始し、NFTへの投資経験も持つ。20年よりライターとしてのキャリアをスタートし、24年08月、日本版ICOBenchに参画。専門分野はクリプト、ブロックチェーン、Web3。