ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は3日、米軍の作戦により拘束された。
この出来事を受け、同政権が推進してきた独自の暗号資産(仮想通貨)政策とその遺産に再び国際的な注目が集まっている。
マドゥロ政権はかつて、米国の経済制裁を回避する手段として、世界初となる国家主導のデジタル通貨「Petro(ペトロ)」を立ち上げていた。
ペトロは2018年に華々しく発表され、原油埋蔵量に裏付けられた価値を持つと宣伝されていた。
しかし、その実態は中央集権的なデータベースに過ぎず、技術的な不備や汚職の温床となったことで、2024年初頭には事実上の廃止に追い込まれている。
国家主導の仮想通貨「ペトロ」の失敗
ペトロは当初、ハイパーインフレに苦しむベネズエラ経済の救世主として、また国際的な決済手段として設計された。
政府はアヤクチョ地域の石油埋蔵量を担保にすると主張したが、実態調査では生産設備が稼働している証拠はほとんど確認されなかった。
プロジェクトの信頼性は、政府による恣意的な価値操作が可能であった点や、技術的な未熟さによって大きく損なわれた。
さらに、米政府が制裁逃れを懸念してペトロの使用を禁止したことで、国際的な普及は阻まれた。
決定的な打撃となったのは、仮想通貨規制当局(SUNACRIP)のトップが関与した巨額の汚職スキャンダルである。
これにより、政府は国内のマイニング施設を閉鎖し、ペトロの取引も停止せざるを得なくなった。
ステーブルコインへの移行とビットコインの蓄積
ペトロの失敗後、ベネズエラ政府は戦略を転換し、既存の仮想通貨を利用した制裁回避策を模索した。
国営石油会社PDVSAは、原油の輸出代金の支払いに米ドル連動のステーブルコインであるテザー(USDT)の使用を顧客に求めたとされる。
報道によると、政府は口座凍結のリスクを軽減するため、受け取ったステーブルコインをビットコイン(BTC)に交換していた。
このプロセスや金の交換、マイニング機器の押収などを通じて、ベネズエラは大量のビットコインを蓄積したと見られている。
その保有量は約60万BTC、現在の価値にして600億ドル(約9兆4200億円)に達すると推計されている。
マドゥロ氏の拘束により、この巨額のデジタル資産が今後どのように扱われるのか、市場への影響が懸念されている。
