ブロックチェーン分析企業のChainalysisは18日、2025年の仮想通貨盗難被害に関する調査結果を公表した。
同社の包括的な分析によると、2025年1月から12月初旬までの仮想通貨盗難被害総額は34億1000万ドル(約5320億円)に達した。
これは2024年の年間総額である33億8000万ドル(約5273億円)をわずかに上回る数字であり、被害規模が高止まりしている現状を浮き彫りにしている。
被害額の増加には、北朝鮮の国家支援を受けた攻撃者による大規模なハッキングが大きく影響している。
特にByBitでの不正流出事件は単独で15億ドル(約2340億円)規模となり、史上最大の仮想通貨盗難事件として記録された。
北朝鮮ハッカーグループの脅威と被害拡大
2025年の盗難ペースは例年になく急速だった。過去最悪の年とされた2022年には被害額が20億ドル(約3120億円)に達するまで214日かかったが、2025年はわずか142日でこの大台を突破している。
この急増の主因は、北朝鮮(DPRK)に関連するハッキンググループの活動だ。ByBitへの攻撃だけで、上半期にサービスから盗まれた全資金の約69%を占める結果となった。
北朝鮮のハッカー集団は2024年にも暗号資産プラットフォームから13億4000万ドル(約2090億円)を盗み出しており、その年の被害総額の61%に関与していた。
国家ぐるみの高度なサイバー攻撃能力が、仮想通貨業界にとって深刻な脅威となっている。
個人ウォレットへの標的シフト
攻撃の対象が中央集権的な取引所から個人のウォレットへと広がりを見せている点も今年の特徴だ。
2025年のこれまでの盗難活動のうち、個人ウォレットの侵害が全体の23.35%を占めるようになった。
この背景には、取引所などのサービスプロバイダーがセキュリティ対策を強化したことがある。
強固な防御を持つ企業への攻撃が難しくなったため、攻撃者はより脆弱な個人ユーザーを標的にし、巧妙なソーシャルエンジニアリング手法を用いるようになった。
また、Chainalysisは「レンチ攻撃」と呼ばれる物理的な暴力や脅迫を伴う手口の増加も指摘している。
ビットコイン価格の上昇局面でこうした事件が増える傾向にあり、資産価値が高まる時期を狙った犯行が目立つ。
攻撃手法としては、依然として秘密鍵の侵害が主流だ。2024年には盗難被害額の43.8%がこの手法によるものであり、2025年も同様の傾向が続いている。ユーザー自身のセキュリティ意識向上が急務となっている。
一方で、盗まれた資金の動きにも変化が見られる。攻撃者は盗難直後に資金洗浄を行うのではなく、オンチェーン上に資産を長く留め置くケースが増えている。
これは、より慎重かつ戦略的に資金を現金化しようとする意図を示唆している可能性がある。
被害を防ぐためには、仮想通貨ウォレットおすすめ製品の中からセキュリティの高いものを選び、資産を分散管理することが重要だ。
特に多額の資産を保有する場合は、インターネットから切り離されたコールドウォレットおすすめモデルの利用も検討すべきだろう。
また、巧妙化する手口に対抗するため、仮想通貨詐欺見分け方を学び、常に最新の情報を入手しておく姿勢が求められる。
