資産運用大手のグレースケールは12日、2026年のデジタル資産市場の見通しに関する報告書を発表した。
同社は報告書の中で、量子コンピュータがビットコインのセキュリティを脅かすという懸念について言及している。
結論として、この技術が2026年の暗号資産市場や価格変動に直接的な影響を与える可能性は低いとの見解を示した。
量子コンピューティングは長期的にはブロックチェーンの暗号システムに対する脅威となり得るものの、短期的なリスクではないと分析している。
グレースケールはこの懸念を、来年に向けての「目くらまし(red herring)」であると表現し、市場参加者が過度に恐れる必要はないと強調した。
2030年までは安全との見方
報告書によると、ビットコインやイーサリアムなどの主要なネットワークで使用されている公開鍵暗号方式を解読できる量子コンピュータの登場は、早くても2030年以降になると予測されている。
現在の技術レベルでは、エラー率の高さや量子ビット数の不足、極低温での動作要件といったハードウェアの制約が存在するためだ。
これらの技術的な障壁により、既存の暗号技術を脅かすほど強力な量子コンピュータが実用化されるまでには、まだ長い時間を要すると考えられる。
したがって、ポスト量子暗号への移行に向けた研究は継続されるものの、それが2026年の暗号資産の評価額を左右する要因にはならないだろう。
市場では、量子コンピュータの能力向上と、ブロックチェーンプロトコルの耐量子性への移行スピードの競争が注目されている。
グレースケールは、世界最大のデジタル資産運用会社としての立場から、この問題がエコシステムにとって管理可能な移行プロセスになると示唆している。
投資家にとっては、これから伸びる仮想通貨銘柄を見極める上で、こうした技術的背景を理解しておくことが重要だ。
量子技術への高い関心とETF展開
短期的な脅威を否定する一方で、グレースケールは量子技術そのものの将来性には強い関心を示している。
同社は2025年5月、量子技術を開発または支援する企業を対象としたETF(上場投資信託)の立ち上げを米証券取引委員会(SEC)に申請した。
このETFは「S&P Kensho Global Quantum Computing Technologies Index」に連動することを目指している。
構成銘柄にはIonQやRigetti Computingといった専門企業のほか、IBM、Google(Alphabet)、Microsoft、Nvidiaといった大手テクノロジー企業が含まれる可能性がある。
この動きは、従来のコンピューティングを破壊する可能性のある新興技術に対する市場の関心の高まりを反映したものだ。
グレースケールはこれまでも、主流になる前の新興技術に関連した金融商品を提供してきた実績がある。
また報告書では、量子コンピューティングとブロックチェーンの交差点には脅威だけでなく機会もあると指摘している。
例えば、耐量子ブロックチェーンプロトコルや、バリデーター選出のための量子乱数生成などが挙げられる。
さらに、現在は解決困難な最適化問題を処理できる量子対応ブロックチェーンシステムの可能性についても触れている。
これらは現時点では理論的な段階に留まるものの、将来的な技術統合の可能性を示唆している。
量子技術の進化は、アルトコインを含む市場全体に新たな局面をもたらす可能性がある。
